世界が報じた日本

4月30日~5月13日

平成26年5月13日

 最近の海外主要メディアにおける日本関連報道の中からいくつか紹介いたします。メディア側から予め承認が得られたものの中から選んで掲載しています。転載・複製を禁じます。詳細はリンクから原文にあたって下さい。

掲載日

8日付

紙面(国名)

ニューヨーク・タイムズ紙(米)

執筆者・掲載欄・発信地

ロジャー・コーエン・コラムニスト(ホーチミン)

 オバマ大統領は最近のアジア訪問で,尖閣諸島を巡る日中間の緊張関係がいかに米国を巻き込むかを示した。日本が施政する東シナ海の岩が「日米安保条約第5条の対象に含まれる。」と大統領が宣言したことは,これらの島の領有権を主張する中国を激しく怒らせた。中国の南シナ海における主張は,力をつけた中国が「米国をアジア太平洋地域から押し出そうとする」というジョン・ミアシャイマー・シカゴ大教授の主張を実証しているように思われる。中国がモンロー主義の独自版を考案することを想定すべきだ。南シナ海におけるベトナムと中国の領有権争いで,米国はベトナムを確固として支持し,ベトナムは中国に対する防衛策として米国との関係を強化した。中国の台頭の中で,他のアジアの小国もこれに倣うだろう。米国のそうした同盟関係は,もし強固であれば,戦争の強力な抑止力になり得る。

掲載日

7日付

紙面(国名)

ボストン・グローブ紙(米)

執筆者・掲載欄・発信地

ジェフ・ジャコビー同紙コラムニスト(平成24年度フォーリン・プレス・センター招聘記者)

 安倍総理は,国の威信の問題として,戦後米国によって制定された憲法第9条の制約を屈辱であり,いつか克服すべきものと考えてきた。しかし,最近の中国の横暴な振る舞いにより,この問題は「いつか」ではなく喫緊に解決を要する問題となった。日本で日中間の戦争勃発の可能性よりも憂慮されているのは,中国の脅威が日々増す一方で,有事の際,米国に頼れるかどうかの確信が日々薄れていることだ。先月来日したオバマ大統領は,「尖閣諸島は日米安保条約の適用対象だ。」と明言した。しかし,日本人は,米国世論が内向きになっており,外交における不干渉主義のムードがその根底にあることをわかっている。国防を懸念する日本の政治家たちは9条の変更を望んできたが,その人気ゆえ最近までその改正に触れることは難しかった。しかし,今ならできるのではないかという感覚が生まれている。ぜひそう願いたいものだ。周囲を中国や北朝鮮のような国々に囲まれている国が,軍事力を「永久に」放棄するなど,まともなこととは思えない。今日の日本は自由で民主主義の国だ。しかし,それを維持するのに平和主義とノーベル平和賞だけで足りると思わないでもらいたい。

掲載日

7日付

紙面(国名)

ル・フィガロ紙(仏)

執筆者・掲載欄・発信地

アレクサンドリーヌ・ブイレ記者

 安倍総理は,OECDの演説で,晩年まで睡蓮の花の絵を粘り強く描き続けたモネを引き合いに出してアベノミクスについて論じた。総理自身も,同じくらいの根気強さをもって改革に取り組むとしてその信念を明らかにした。そして,「150年前に日本の画家は,フランスの画家にインスピレーションを起こしましたが,今度は日本の構造改革の努力が世界にインスピレーションを与えることを願っています。」と語った。また,「多様性に富み,バランスが取れた『弁当』」という例を用い,世界が進めるべき構造改革のヒントもこの箱の中にあるような気がすると述べた。

掲載日

5日付

紙面(国名)

ル・モンド紙電子版(仏)

執筆者・掲載欄・発信地

セバスチャン・ルシュヴァリエ社会科学高等研究院教授寄稿

 長きにわたる不況から日本を脱出させたのは安倍総理であると,歴史に刻み込まれることになるだろう。保守的・ナショナリスト的なアジェンダに注力していることで知られる安倍総理だが,優先順位を変更し,経済成長の回復と国民の期待に添うように対応することも忘れなかった。経済政策を抜本的に改革したアベノミクスによって,安倍総理はこれに成功した。この何よりもの功績は,目に見える一貫した政策を打ち出したことだ。また,安倍総理は大企業に対し,賃金上昇を促すことも厭わなかった。経済,エネルギー,国際関係における,安倍政権の大胆さと慎重さを兼ね備えた政策は,フランスに大きな教訓をもたらしてくれる。これは日本が革新し続けている証拠であり,国際的,技術的な制約の中でも,方策は一つだけではないことを示唆している。日本との特別なパートナー関係の構築に着手したフランスにとっては,良い道標となるだろう。安倍総理が常に驚きを与えてくれること,そしてフランスを特別なパートナーとみなしてくれることを願うばかりだ。

掲載日

3日付

紙面(国名)

ル・フィガロ紙(仏)

執筆者・掲載欄・発信地

ファブリス・ノデ=ラングロワ記者(東京発)

 安倍総理は決意を固くしており,女性のワーク・ライフバランスを整えることをアベノミクスの三本の矢のうちの一つに据えた。安倍総理は,日本における女性の社会進出に注力することを打ち出したが,2005年には安倍総理自身も職場における男女平等の考え方を,家族的価値観や,日本文化に対する脅威であるとみなしていた。そして,母親たちが仕事をできるようにするには,託児施設を充実させる必要がある。現在2.3万人が空席待ちと言われているが,経済産業省の担当者の話によれば,潜在的な需要の数は85万人から100万人ではないかという。このような事情から,3歳以下の幼児の託児施設利用率42%を誇るパリ市の保育園を月曜日に安倍総理が訪問することは,重要な意味を持つのだ。

掲載日

4月29日付

紙面(国名)

フランクフルター・アルゲマイネ紙(独)

執筆者・掲載欄・発信地

カーステン・ゲアミス特派員

 安倍総理は,東アジアの隣国である中国及び韓国に地域の緊張緩和を呼びかけた。10日間にわたる訪欧を前に安倍総理は,本紙のインタビューに対し,「私の対話の扉は常にオープンである」と述べた。日本の第二次世界大戦における役割の評価及び無人諸島の帰属に係る争いを巡り,日韓及び日中関係は緊張している。安倍総理は,「アジア地域の平和と安定が損なわれれば,世界全体に重要な影響を与える」とした上で,中国を名指しすることなく,同国の太平洋地域における軍備拡張を批判した。安倍総理は,欧州訪問を29日のベルリン訪問から開始する。メルケル首相との会談において,特に両国間の中小企業間の協力強化に努めたいという。その後の英仏訪問においては,原発の安全性の向上に係る協力も主要なテーマとなる。安倍総理は,福島の災害にもかかわらず,今後も原子力発電を利用するとの自身の決定を擁護した。

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