世界が報じた日本
海外主要メディアの日本関連報道
4月8日~15日
掲載日
12日付
媒体名(国名)
執筆者(発信地)
ヘレン・クーパー記者(モンゴル発)
ヘーゲル米国防長官訪中時に,中国人民解放軍は同長官を空母遼寧の見学に招いた。中国は近隣国との島々をめぐる紛争で高まる緊張を受け,海軍力を誇示する決意を示したと思われる。しかし米国とアジアの関係者は,中国軍部の不安感も見えたと述べる。ヘーゲル長官は,中国が日本やフィリピンなど敵対的な近隣諸国に包囲されているという不満や警告を聞かされた。中国は自国が歴史的に弱者であることを強調したいのか,軍事大国であるという新たなポーズを取りたいのか決めかねているようだ。中国は「領土主権」には「妥協,譲歩,条約締結もしない」と宣言し,中国軍は召集されたら戦って勝つと述べた。しかし,強気の姿勢に反して現実には戦闘経験もほとんどなく,装備も旧式で試したこともない。遼寧も米国の空母に比べるとかなり遅れているようだ。
掲載日
11日付
媒体名(国名)
執筆者(発信地)
社説
北朝鮮工作員による日本人拉致という痛ましい問題を再調査する用意があることが今月初めに北朝鮮から日本に対して示された。これは驚くべき展開だ。北朝鮮が日本人拉致家族の長い苦しみを終わらせる方向へ動くのなら良いことだ。日本にとって拉致問題は国民の怒りを引き続き呼び起こしている。先月北朝鮮は,横田めぐみさんの娘が祖父母にモンゴルで会うことを許可した。めぐみさんの78歳の母親は孫娘と過ごせた数日は夢のようだったと語った。日本は17人が拉致され,12人は依然として生存していると信じている。このことは北朝鮮に真実を語るようにとの圧力をかけている。今,北朝鮮は日本が制裁を撤廃することを望んでおり,そのために拉致問題の再調査に合意した。北朝鮮と交渉するときには常に疑うことが必要だ。北朝鮮が外貨に対して深刻な需要を有していることは,今回真の解決への希望の根拠となるかもしれない。
掲載日
9日付
媒体名(国名)
執筆者(発信地)
ユ・ホア氏(作家)寄稿
1970年に始まった文化革命の犠牲者の魂は,44年間,中国政府,共産党の謝罪を待っている。現在,環境問題や収入格差を含む途方もなく腹だたしい中国国内問題に不満を抱き,文化革命時を懐かしむ人々もいる。しかし,文化革命後に生まれた者たちは文化革命中の隠された事実については知らない。尖閣諸島領土問題によって中国人の間で反日感情が高まっている。これに加え,日本政府の歴史認識対応が反日感情を煽っている。しかし,中国政府もまた文化革命という史実を振り返る必要がある。我々は,侵略の歴史を直視せず,過ちを繰り返す危険がある日本に対して警告を続けていくが,もちろん我々にも学ぶべき教訓はある。
掲載日
7日付
媒体名(国名)
執筆者(発信地)
シュタンツェル前駐日ドイツ大使寄稿
現在の日中関係の悪化は特筆すべき問題の表れではあるが,これが戦争にまで発展するのだろうか。中国政府は日本の過去を政治的な都合に応じて道具にしており,特に1990年前後に中国共産党が支配正当性の喪失への対応策として公式の歴史見解を変更して以降,「愛国主義的教育」により,歴史とは無関係なイメージが伝えられている。中国政府は長年にわたり歴史描写を操作し,国民の怒りを組織的に動員してきた。他方,日本の高位の政治家による一連の戦争犯罪に対する謝罪も,他の政治家が南京大虐殺や売春婦に対する国の責任を否定する度に価値を失っていく。靖国神社はこの問題を象徴的に示しており,総理大臣が参拝する度に他国から批判されている。日中情勢について,軍事的グレーゾーンにおける誤算や過信に基づく衝突の危険性は実在する。ただし,今日の政治家は「夢遊病者」とは違い,状況を踏まえつつ,リスクを完全に認識した上で行動する。