世界が報じた日本
海外主要メディアの日本関連報道
3月11日~18日
掲載日
17日付
紙名(国名)
執筆者(発信地)
マーティン・ファクラー東京支局長
1977年に北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの両親が先週数日間,北朝鮮生まれのめぐみさんの娘とウランバートルで行われた秘密裏の会談で初めて面会したと外務省が16日に発表した。日本のメディアによると,今回の面会は北朝鮮が日本に向けた友好の意思表示である。めぐみさんの両親が娘の消息を長年探してきたことは多くの日本人の心を捉え,拉致問題を巡る北朝鮮への反発を煽ってきた。北朝鮮側は過去に,日本側の譲歩を取り付けるためにめぐみさんの娘との面会の可能性をちらつかせ,日本との交渉材料に使おうとしてきた節がある。
掲載日
14日付
紙名(国名)
執筆者(発信地)
マーティン・ファクラー東京支局長
安倍総理は14日,旧日本軍の売春施設で働くことを強いられた女性に対する1993年の謝罪を安倍内閣で見直すことはない旨述べた。安倍総理が,河野談話として知られる公式謝罪を自らが率いる右派政権が継承することを明言したのは初めて。安倍総理は,「筆舌に尽くしがたいつらい思いをされた方々のことを思い,非常に心が痛む。この点についての思いは私も歴代総理と変わりはない」と述べ,河野談話について「安倍内閣で見直すことは考えていない」と述べた。安倍総理はまた,安倍政権は,20世紀前半の日本の軍国主義の犠牲者全てに対して日本政府が1995年に行った,より広範な謝罪についてもこれを踏襲すると述べた。14日の発言は,依然としてアジアを分裂させている,しばしば非常に感情的な歴史問題について,より穏健な姿勢をとろうとする安倍氏の意図を最も力強く表明した発言の一つである。同発言はまた,安倍氏が総理に就任する前の見解から明確に距離を置くことを意味している。安倍氏はかつて,旧日本軍は実際にそれらの女性を強制したのかどうかという疑念を公に表明していた。日本政府当局者らは,総理の発言は,韓国との関係を改善し,核安全保障サミットの際に朴大統領との会談を実現させようとする総理の努力の一環である可能性があると述べている。
掲載日
11日付
紙名(国名)
執筆者(発信地)
カーステン・ゲルミス記者
復興は遅々として進まない。津波により破壊された沿岸都市は今も人気がない。土木建設作業員が不足している。2020年五輪もすでに悩みの種だ。成長率は予想よりも低い。消費低迷は増税に対して疑問を投げかけている。しかし,苦境から生まれた新しいアイディアはあり,東北地方の経済はまだ回復していないが,勇気づけられる例はある。
掲載日
11日付
紙名(国名)
執筆者(発信地)
ダビッド・バルー記者
福島原発事故は我々に3つの教訓を与えた。第1の教訓は,日本のように準備の怠りない国で原発事故が発生したという事実から,(原発の)ゼロ・リスクはあり得ないということである。第2の教訓は,原子力エネルギーは費用がかかるということである。原子力エネルギーが安価であるという神話もあったが,安全対策に関わる費用を考慮すると,原子力のコストは今後も高いと予想される。第3の教訓は,安全性とコストの問題があるにもかかわらず,原発は今後も生き残るということである。福島事故発生以降,中国,トルコ,英国およびその他の諸国も原発が将来のエネルギー源の一つであることを確認している。
掲載日
10日付
紙名(国名)
執筆者(発信地)
ヴェロニク・ルビヨン記者
福島原発事故発生後,各国の原子力発電所でストレステストが実施された。フランスでも「福島後」が話題に上り原発の安全が強化された。しかし,「無形」の安全性はあまり話題にされていない。仏経済学者のフランソワ・レベック氏は,福島原発事故の直接の原因は津波であったが,透明性が高く,独立して,能力の高い規制機関の欠如が根本的な原因だ,と指摘する。既存の機関による規制はコストが低くてすむが,外部のチームを加えることで原発の安全性が著しく強化されうる,と同氏は指摘する。原子力発電所の事業者はもちろん原発の安全の責任者である。福島事故の後,事業者である東京電力のガバナンス不全などが明らかにされた。ただしフランス放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)のジャック・ルプサール所長は,「規則が多すぎると,安全に関わる作業が煩雑になり,結局は規則を壊すことになる」と指摘している。