カリブ共同体(CARICOM:カリコム)

平成26年11月16日
写真1
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 11月14日~15日,カリブ地域14か国から成るカリブ共同体(カリコム)諸国の外相等(参考1)を東京に招き,第4回日・カリコム外相会合を開催したところ,概要および評価は以下のとおりです。

I.概要

1.日程

11月14日(金曜日)
 宇都政務官主催昼食会
 伊吹衆議院議長,日・カリブ友好議員連盟幹部表敬
 岸田大臣との二国間会談(ガイアナ,ベリーズ及びグレナダ)
 中山副大臣主催レセプション

11月15日(土曜日)
 第4回日・カリコム外相会合
 岸田大臣主催昼食会
 岸田大臣との二国間会談(アンティグア・バーブーダ,ハイチ,ジャマイカ,セントクリストファー・ネーヴィス,セントルシア)
 中山副大臣との二国間会談(カリコム事務局,バハマ,バルバドス,ドミニカ国,セントビンセント,スリナム,トリニダード・トバゴ)

11月16日(日曜日)
 都内視察
 

2.第4回日・カリコム外相会合

 11月15日(土曜日)9時から11時35分,岸田文雄外務大臣は,訪日中のカリブ地域14か国から成るカリコム諸国の外相等と第4回日・カリコム外相会合を行い,共同議長を務めたところ,概要以下のとおりです。
 参加各国は,本年7月の第1回首脳会合の際,安倍晋三内閣総理大臣が発表した対カリコム政策の三つの柱に沿い議論し,会合後,成果文書として,日・カリコム共同閣僚声明を採択しました。
 
(1)日・カリコム関係

ア 第一の柱:小島嶼開発途上国特有の脆弱性克服を含む持続的発展に向けた協力
  • 岸田大臣から,昨年9月の外相会合の際にカリコム側から強い要望のあった所得水準のみによらない支援の重要性につき検討した結果,本年7月の第1回日・カリコム首脳会合にて安倍総理から今後の協力のために調査を実施すると表明したこと,これを受け,本年8月末から再生エネルギー・省エネルギー分野での調査を実施中であること,近く防災分野でも調査を実施予定であること,これら調査結果を踏まえて具体的協力を検討していくこと等を述べました。
  • これに対し,カリコム諸国から,日カリコム関係が強化されていること,日本からの多岐にわたる支援への謝意が述べられると共に,交流年の年に初の首脳会合が行われ,今回外相会合が行われることは双方の連携強化に対する高い関心の表れであり,また日本が,カリコムの積年の懸念に関し,日本が真摯に検討し,具体的進展を見せていることについても謝意と期待が表明されました。
イ 第二の柱:交流と友好の絆の拡大と深化
  • 国際会議の場を活用して頻繁に外相会合の機会を持つことを双方で模索していくこととしました。
  • 日カリブ交流年を通じた交流の進展を互いに評価し,政務レベルの往来,議員間交流の促進,若手外交官招聘やJETプログラムを通じた交流,西インド諸島大学における日本語教育の支援の推進,双方の観光促進などを行っていくことを確認しました。
(2)第三の柱:国際社会の諸課題の解決に向けた協力

ア 国連安保理改革
  • 岸田大臣から,来年の国連創設70周年に,安保理改革実現のため,引き続きカリコムと緊密に連携していきたい旨述べ,カリコム側よりも安保理改革実現を重視しているとの発言があり,双方の立場の収れんを目指して連携を強化していくこととしました。
イ 気候変動及び小島嶼開発途上国(SIDS)
  • 岸田大臣から,全ての国が参加する公平かつ実効性のある2020年以降の新たな国際枠組みの合意に向け協力したい,また, SIDSの脆弱性の問題に取り組むためカリコムも協力していきたい,あらゆる分野での人材育成が重要との観点から5,000人の人材育成を行う方針である,緑の気候基金(GCF)にも応分の貢献をしていきたい等述べた。カリコム側からは気候変動に伴う海面上昇や災害の頻発による深刻な影響につき具体的な説明が行われ,この緊急を要する課題への対処に協力していきたいとの発言がありました。またカリコム側より,日本のSIDS特有の問題に対する深い理解と関心への謝意が表明され,緊密に協力していくことが確認されました。
ウ ポスト2015年開発アジェンダ
  • 岸田大臣から,ポスト2015年開発アジェンダ策定に際しては,人間の安全保障の理念に基づき,ジェンダー平等,保健,防災等の課題に対処し得る枠組みとするべきこと,小島嶼国特有の脆弱性を勘案することが重要であることを強調し,実施可能な枠組みの策定に向けて緊密に協力していきたい旨述べました。また,来年3月に仙台市で第3回国連防災世界会議への参加を得たい旨述べました。カリコム側からは,小規模経済ゆえに抱える開発上の問題につき強調したうえで,日本がカリコムの立場を最大限踏まえて,議論に参画していくことへの期待が表明されました。
  • 岸田大臣から,来年3月に仙台市で開催される第3回国連防災世界会議への参加を得たい旨述べました。カリコム側は会議への積極的な参加と緊密な協力を確認しました。
エ 開発への資金調達
  • カリコム側から,気候変動による影響に伴う災害の頻発,小規模経済のためインフラ開発などへの一人当たりの負担が大きく,外部経済の影響を受けやすいため財政赤字を抱えるといった小島嶼国特有の開発課題につき改めて説明をしたうえで,カリコム諸国は災害よりの再建等により巨額な譲許的な資金が必要であるが,所得水準の問題で譲許的な資金へのアクセスが得られない,カリコムは未だ多大な開発ニーズがあるので,国際場裡でカリコムの立場を理解し,カリコムの声を代弁してほしい旨の提起がありました。岸田大臣から,カリコム側の問題意識を最大限踏まえて対応していきたい旨応じました。
オ 海洋生物資源の持続可能な利用
  • 岸田大臣から,責任ある漁業国として鯨類を含む海洋生物資源の持続可能な利用の促進に係る協力を強化したい旨述べ,カリコム側より日本と立場を共有する,持続可能な漁業,海洋資源全般の持続可能な利用,海洋秩序の維持につき協力をしていきたい旨の発言がありました。

II.評価

1.日・カリブ交流年の本年,7月に安倍総理がトリニダード・トバゴを訪問して行った第1回日・カリコム首脳会合において総理が打ち出した対カリコム政策三本柱((1)小島嶼国特有の脆弱性克服を含む持続的発展に向けた協力,(2)交流と友好の絆の拡大と深化,(3)国際社会の諸課題の解決に向けた協力)に対し,カリコム諸国側より高い評価が得られ,これらを柱に今後の関係強化を行っていくことが確認されました。

2.岸田大臣から,カリコム諸国が抱える小島嶼国特有の脆弱性克服の鍵となる再生可能エネルギー・省エネルギー分野に関し調査を実施中であるなど,第1回首脳会合での表明事項を着実にフォローアップしていることを示し,カリコム諸国側から高く評価されました。

3.先方からは,さらに,ポスト2015年開発アジェンダの議論も念頭に,開発資金への資金調達のためにも所得水準のみによらず小島嶼国特有の脆弱性を考慮に入れ,譲許性の高い資金供与を得られるよう,日本にドナーとしてカリコムの声を代弁してほしいとの要望もあり,日本に対する高い期待が表されました。

4.国際社会にとり重要な節目の年である2015年に向け,国連安保理改革,気候変動等の重要な国際社会の諸課題について議論し,共通した立場をとることが多く,発言力の高いカリコム諸国に我が国の立場への理解・支持を促し,またカリコムに対してもカリコムの立場も踏まえて対応する姿勢を示すことができました。

5.一連の日程により,忌憚ない意見交換を行った岸田大臣,中山副大臣及び宇都政務官との関係の構築,頻繁な政策対話の重要性を認識するとともに,議連,企業,文化関係者等とも交流が行われました。
(参考1)第4回日・カリコム外相会合へのカリコム諸国等代表
アンティグア・バーブーダ:グリーン貿易・商業・産業・スポーツ・文化国家的祝祭大臣
バハマ:フォーブズ・カリコム担当大使
バルバドス:ブラフィット駐中国大使
ベリーズ:エルリントン外務大臣
ドミニカ国:プレヴォ外務次官
グレナダ:スティール外務・国際ビジネス大臣
ガイアナ:ロドリゲス=バーケット外務大臣
ハイチ:ブリュテュス外務・宗務大臣
ジャマイカ:ニコルソン外務貿易大臣
セントクリストファー・ネーヴィス:ニズベット外務・司法・法務・国土安全保障・労働大臣
セントルシア:バプティスト外務・国際貿易・民間航空大臣
セントビンセント及びグレナディーン諸島:キング国連常駐代表
スリナム:ピナス駐日大使
トリニダード・トバゴ:シーニョリ外務次官代理
カリコム事務局:グランダーソン事務局長補
 
(参考2)「日本の対カリコム政策」3つの柱
第一の柱:小島嶼開発途上国特有の脆弱性克服を含む持続的発展に向けた協力
第二の柱:交流と友好の絆の拡大と深化
第三の柱:国際社会の諸課題の解決に向けた協力
 
 日・カリコム事務レベル協議開始後満20年,日・ジャマイカ及び日・トリニダード・トバゴ外交修好50周年を記念して,2014年を「日・カリブ交流年」とし,年間を通じて日・カリコム関係促進を目的とした様々な事業を日本及びカリコム諸国で実施するもの。

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