安倍総理大臣
日・トルコ首脳会談(概要)
平成26年1月7日

1月7日(火曜日)午後5時45分頃から約1時間半,安倍晋三内閣総理大臣は,公式実務訪問賓客として来日中のレジェップ・タイップ・エルドアン・トルコ首相と首脳会談を行ったところ,概要は以下のとおり。また,両首脳は,首脳会談後,日トルコ間の科学技術大学設立に関する協力覚書の署名・交換,厚生労働省・トルコ保健省間の意図表明文書及び防災協働対話の枠組みに関する国土交通省・トルコ首相府間の意図表明文書の交換に立ち会い,共同記者発表を行った。
1.政治・地域情勢
- 安倍総理から,昨年12月に策定した国家安全保障戦略に基づき、積極的平和主義の観点から中東地域を含め国際社会の平和と安定に一層積極的に貢献していく考えを述べ,外相間定期協議を始め、意思疎通を頻繁に行い,トルコと安全保障戦略面での対話を深めていきたい旨述べた。これに対しエルドアン首相から,安全保障分野でも意見交換・協議を実施していきたい旨応じた。
- 安倍総理から,トルコ等への生活物資の無償譲渡や,1100万ドルのトルコ向け追加的支援を準備していることといった我が国のシリア支援について紹介したのに対し、エルドアン首相から我が国の支援への感謝の意が述べられた。また、今月開催されるジュネーブ2会議が成果を挙げられるよう協力していくことで一致した。この他、エジプト、リビア、イエメン等の中東・北アフリカ地域情勢や中国、北朝鮮等の東アジア地域情勢について意見交換を行った。
2. 経済
- 日トルコEPA及び社会保障協定について,政府間交渉を開始することで合意した。エルドアン首相からは、日本はアジア太平洋地域における最重要パートナーであるが、両国間の貿易・投資については更に拡大させていきたい旨述べた。
- 安倍総理から,マルマライ・プロジェクト(ボスポラス海峡横断地下鉄)についての追加円借款供与,日本の揚水発電技術を活かした協力に係る円借款を念頭においた調査団の派遣について紹介した。エルドアン首相からは,マルマライ・プロジェクトへの追加円借款に感謝の意が述べられた。
- 原子力協定の早期締結について両国で取り組んでいくことで一致した。
- 両国の宇宙分野での協力が進展していることを歓迎し,更に推進していくことで一致した。また,防災,医療・保健,科学技術の各分野における両国当局間の協力に係る文書への署名を歓迎した。
- 安倍総理から、日本産食品の放射性物質規制について、改めてトルコ側による早期の規制の緩和・撤廃を要請した。
3.文化・教育
- 日トルコ科学技術大学について、安倍総理から、両国検討委員会による合同委員会の開催等の進展を歓迎し,今後の構想具体化を促したい旨述べ、エルドアン首相から、本日署名される覚書が実現への大きな一歩になる、大学はイスタンブールのアジア側への設置を検討している旨述べた。
- エルトゥールル号事件とテヘラン邦人救出をテーマとする日トルコ合作映画の2015年公開に向けた両国の協力について議論していくことで一致した。
- 安倍総理から,外交関係樹立90周年を記念し,外交・安保,歴史,言語,文化など幅広く今後の新たな両国関係を展望するシンポジウムを本年トルコにおいて開催する旨述べ,トルコ側の協力を要請した。