持続可能な開発のための2030アジェンダ
グローバル連帯税フォーラム及び国際連帯税創設を求める議員連盟共催
「SDGsのための国際貢献と国際連帯税を考えるシンポジウム」における河野外務大臣挨拶


7月26日,河野外務大臣は衆議院第一議員会館国際会議室で開催された,グローバル連帯税フォーラム及び国際連帯税創設を求める議員連盟共催の「SDGsのための国際貢献と国際連帯税を考えるシンポジウム」(協力:日本リザルツ,日本国際交流センター,外務省)に出席し,冒頭において挨拶を行いました。挨拶文は以下の通りです。
皆様,こんにちは。ご紹介にあずかりました河野太郎でございます。本日は「SDGsのための国際貢献と国際連帯税を考えるシンポジウム」が,かくも盛大に開催されましたこと,誠におめでとうございます。また,共催者であります国際連帯税創設を求める議員連盟,そしてグローバル連帯税フォーラムのご尽力にも感謝を申し上げたいと思います。
冷戦が終わって,世の中は様々な平和の果実を少しは得ることができるのではないか,あの当時は私もそう思っておりました。冷戦が終わったからこの地球が平和になったかというと,昨年は史上最も難民,国内避難民の数が多いという年に残念ながらなってしまいました。冷戦が終わったからと言って,すぐ平和が来るか,すぐ人類の暮らしが良くなるかと言えば,そうならないのが現実であり,この現実にしっかり目を向ける必要があります。そして,西日本でも大きな水害が起きましたが,気候変動によって世界中で様々な自然災害が増えてきているというのも現実です。これからこうした災害にもどう対応していくかということを考えなければなりません。
そういうなかにあって,残念ながら先進国の中には援助疲れというのが現実に起きつつある,いえ,もう起きていると言ってもよろしいかと思います。日本も,かつてはODAが世界一だと言って胸を張った時代もありましたが,残念ながら,それをいいことだと言う声よりも、そんな金があるなら国内に使えという声の方が圧倒的に多いのが現実でありますし,ODAもピークから比べれば半減した訳であります。そして今の財政的な制約を考えれば,このODAの縮小のトレンドを大きく転換するということは極めて難しいと言わざるを得ない訳です。
そして,これは日本だけではないだろうと思います。様々な国が財政赤字に直面し,どう対応していくかということを考えたときに,今必要とされている様々な災害復旧,あるいは難民,国内避難民の方をどう支援していくか,あるいは,この開発のためのニーズにどう応えていくかということを考えたときに,例えばSDGsを達成するためには,国連貿易開発会議(UNCTAD)の試算によれば毎年2兆5千億ドルの大きな資金ギャップがあるというのが現実であります。残念ながら今のやり方でこの資金ギャップを埋められるかというと,それは非常に心許ないといわざるを得ず,政府の予算以外から手当てする方法も考えなければいけないと私はこの十数年思ってまいりました。その一つのやり方として,国際的な税を何かにかけて,直接この地球上の経済活動で利益を得ている人たちから開発のための資金ニーズ,あるいは様々な人道的な資金ニーズに応えるということを考えていかなければならないのではないかと思っていたところ,その時にトービン税をはじめ,様々な形の国際連帯税の考え方が提唱されるようになりました。国の予算に依存するのではなく,この資金ギャップを直接埋めることができるやり方についての議論をしっかりと前に進めていただきたい。国際連帯税は,その有力な方法の一つだと思っております。是非,皆様のこうした動きからこの地球上に住む人間の一人として,「誰一人取り残さない」というSDGsのゴールをみんなで達成をして行こう。そのために一人ひとりやれることはやる,そして資金ギャップを埋めるための方策も皆で考え,それを実行していくことが必要な時期に来ているのではないかと思っております。
是非こうした皆様の輪を,日本だけでなく国際的にも広げていただいて,そう遠くない将来,このSDGs達成のためのしっかりとした方法を考えることができる,そういう動きにつなげていただきたいと思います。皆様のこれからのご活躍に大いに期待させていただいて,一言ご挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございます。