気候変動

平成30年11月13日
(写真1)気候変動対策をリードする日本の企業
(写真2)気候変動対策をリードする日本の企業
(写真3)気候変動対策をリードする日本の企業

気候変動対策に取り組む民間企業の力の重要性

 パリ協定を着実に実施するには,社会経済活動に伴って発生する温室効果ガスの大幅な排出削減と気候変動によって生じる影響への適応が必要です。パリ協定に定められている,いわゆる「2℃目標」を実現するためには,革新的技術の開発・普及などイノベーションを通じた温室効果ガスの削減をグローバルに追求することが不可欠です。それと同時に,世界規模での気候変動対策に必要な資金を確保するためにも,投資を促し,国際協力を強化し,世界が一丸となって気候変動対策に取り組んでいかなければなりません。パリ協定やCOP決定において,民間企業や地方自治体,市民社会をはじめとする様々な担い手(非国家主体,non-state stakeholder)の役割の重要性が言及されています。

 国際社会の低炭素化に向けた流れはもはや後戻りすることなく,日本の企業も自社製品やサービスを通じて気候変動対策と持続可能な社会の実現に大きく寄与しています。以下に紹介する日本企業の先進的な取り組みは,そのほんの一部です。気候変動対策と経済成長の両立は,このような取り組みを通じて実現されます。政府は,パリ協定の着実な実施に向け,今後一層民間企業と連携していきます。

国内外における日本企業の先端的な取組

再生可能エネルギー100%(RE100)

株式会社リコー

【デジタル複合機・プリンタ,オフィス向けITソリューション,半導体等を手掛ける精密機器メーカー】

日本初,RE100に加盟した企業です。2050年に自社排出の温室効果ガス排出ゼロを目指し,徹底的な省エネ活動を進めるとともに,2030年までに少なくとも電力の30%を再生可能エネルギーに切り替え,2050年までに100%を目指します。

(注)Renewable Energy 100% (RE100)とは,事業に必要な電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる企業が加盟する国際的なイニシアチブです(RE100のホームページ(英文)別ウィンドウで開く)。

使うエネルギー < 創るエネルギー

パナソニック株式会社

【家庭,住宅,車載,B2B向け機器などを手掛ける総合エレクトロニクスメーカー】

「パナソニック環境ビジョン2050」に基づき,生産時および製品の使用時に使うエネルギーを削減するために,CO2ゼロの工場づくりや省エネ製品の開発に取り組んでいます。
また,太陽光発電や蓄電池,水素エネルギーを活用し,使うエネルギーを超える,エネルギーの創出・活用を進め,クリーンなエネルギーでより良く快適にくらせる社会を目指します。

エネルギー供給

(水素エネルギー)

千代田化工建設株式会社

【水素サプライチェーン構築を目指す総合エンジニアリング会社】

千代田化工建設は,究極のクリーンエネルギーと言われながら,これまでその輸送が課題であった水素を常温常圧で,液体の状態で安全に大量に貯めて長距離を輸送する技術を確立しました。ゼロエミッション社会の実現に向け,2020年,世界に先駆けて海外(ブルネイ・ダルサラーム国)から水素を日本(川崎臨海部)に運ぶ「水素サプライチェーン」を構築します。

(太陽光発電)

XSOL

【太陽光発電の総合企業】

太陽光発電の設計・調達・建設・メンテナンスを包括的に提供することで,太陽光発電の普及を推進します。日本における太陽光発電の市場の将来予測等を分析し,積極的に発信しています。

ソーラーフロンティア

【太陽電池の製造,販売,輸出を行う企業】

実発電量の高いCIS薄膜太陽電池の世界最大メーカーです。CIS技術の特性を生かした価値創造を通じて,太陽による快適でクリーンな暮らしを国内外のお客様にお届けしています。

くにうみアセットマネジメント株式会社

【自然エネルギーを中心にインフラ事業,地域創生,クロスボーダー事業を行う会社】

自然エネルギーを活用し,持続可能な経済システム:『太陽経済』の構築を目指します。235MWの日本最大級のメガソーラーを岡山県瀬戸内市に開発中です。(2019年春,稼働開始予定) 完成後は年間を通じて一般家庭約7万世帯分の消費電力に相当する電力を供給し,瀬戸内市のCO2総排出量の約半分,年間192,000tの削減効果があると見込んでいます。

(水力発電等の再生可能エネルギー)

JAGシーベル株式会社

【再生可能エネルギー設備の研究開発,製造販売及びコンサルティングを行う企業】

再生可能エネルギー設備の研究開発,製造販売,コンサルティングに取り組んでいます。途上国における適応対策として灌漑システムが導入されている現状を踏まえ,3m程度でも発電できる水力発電システムを開発し,インド,ベトナム,ミャンマー,エチオピア,ケニア等の緩和策にも貢献しています。

(バイオマス炭化装置)

明和工業株式会社

【バイオマス炭化プラント等の途上国展開により循環型社会構築を目指す地方中小企業】

下水汚泥や生ごみ等の有機ごみを炭として取り出せる炭化プラント等を開発,製造,販売しています。炭は良好な自然肥料,土壌改良材,保水材として利用可能なことから,人口爆発や都市集中で廃棄物処理の問題を抱える途上国や気候変動により降雨パターンが変化している乾燥地において,同プラントは有機ごみの再資源化と農業の強靭化を同時に達成するツールになります。

住宅・建築物関連の省エネ・スマートシティ・災害に備えた街作り

積水ハウス株式会社

【住宅,開発事業等の企画・設計・施工・請負及び監理等を行う会社】

2016年度の新築販売棟数の74%がZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)であり,2013年から2017年3月末までの累積28,195棟を達成しました。また,2009年から2016年までの累積省CO2モデルのCO2排出削減効果は,年間30万トン-CO2に達しています。2050年までに住宅のライフサイクルでCO2排出ゼロを実現し,脱炭素社会の構築を目指します。

清水建設株式会社

【総合建設業の会社】

当社中長期目標「シミズ エコロジー・ミッション 2030-2050」ではSDGs(持続可能な開発目標)の目標13(気候変動に関する具体的な対策)を鑑み,現場,オフィス等国内全ての拠点における事業活動でのCO2排出量と,設計施工によるお客様の建物の運用時,ライフサイクルにわたるCO2排出量に対して,2050年に1990年比-80%の削減目標を定めて推進し,気候変動対策に貢献しています。

株式会社LIXIL

【住生活に関わる建材・設備機器と幅広い住関連サービスを提供する会社】

「水の保全と環境保護」に関する中長期目標として「環境ビジョン2030」を掲げ,グループ全体で「環境負荷ネットゼロ」の実現を目指し,住宅やオフィスの省エネ・節水・高断熱化などに貢献する建材・設備機器と住宅関連サービスを提供しています。SaTo (Safe Toilet)等の活動を通じ,世界の衛生課題解決にも取り組んでいます。

(注)ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)とは,省エネルギーと創エネルギーを組み合わせることで,一次エネルギー消費量が正味でゼロとなる住まいのことです。

交通機関の省エネ

全日空(ANA)ホールディングス

【日本と世界をつなぐエアライングループ】

ANAグループ2012-20中長期環境計画「ANA FLY ECO 2020」を策定し,環境保全活動を進めています。航空燃料によるCO2排出削減に向けては,省エネ機材への置き換え,燃料節減対策の実施,バイオジェット燃料の導入準備等の様々な施策に取り組んでいます。

情報通信技術(ICT)による脱炭素・省エネ

富士通株式会社

【ICT分野でトータルにソリューションを提供する会社】

2050年に自らのCO2ゼロエミッションを目指す「FUJITSU Climate and Energy Vision」を掲げ,デジタル革新を支えるテクノロジーやサービスにより脱炭素社会の実現にグローバルに貢献します。AIやIoT等,最先端ICTを開発・活用し,運輸・交通分野やものづくり分野における省エネルギー化等の緩和策や,防災関連の緊急速報システムの導入等の適応策に貢献します。

コンサルティング・金融

三菱UFJモルガンスタンレー証券

【金融商品取引業やコンサルティング業務を行うMUFGグループの証券会社】

二国間クレジット制度(JCM)別ウィンドウで開くの手続や実施に必要な方法論の策定等を通じて,海外での温室効果ガス削減プロジェクトを支援する他,適応を含む気候変動分野全般,気候変動ファイナンス,ESG投資等,幅広い領域において調査・コンサルタンティングを行っています。

オリックスグループ

【国内外で金融サービスや再生可能エネルギー発電など多角的に事業を展開する企業】

グローバルな環境・エネルギー問題に対し,太陽光発電を始め各種の再生可能エネルギー発電,省エネ事業に積極的に取り組んでいます。アジアではRobeco Groep N.V.とアジア開発銀行と共同で,環境エネルギー関連や低炭素化事業へ投資する「Asia Climate Partners(ACP)」を設立,アジアの環境課題解決に貢献しています。

株式会社NTTデータ経営研究所

【企業経営,経済,社会等にかかる調査研究・コンサルティングを行う会社】

二国間クレジット制度(JCM)別ウィンドウで開くなどを活用した,日本企業が誇る低炭素技術の海外展開の支援や,プロジェクトの組成・実施に従事しています。また,CDP回答支援コンサルティングにも多くの実績を有しています。

 この他にも,特に適応分野で活躍する日本の民間企業及びその取組を以下のページで紹介しています。是非,こちらもご覧ください。



Get Adobe Reader(別ウィンドウで開く) Adobe Systemsのウェブサイトより、Acrobatで作成されたPDFファイルを読むためのAdobe Readerを無料でダウンロードすることができます。左記ボタンをクリックして、Adobe Systemsのウェブサイトからご使用のコンピュータに対応したソフトウェアを入手してください。

気候変動へ戻る