評価年月日 平成22年12月24日
評価責任者 国別開発協力第一課長 清水茂夫
(1)供与国名
ベトナム社会主義共和国
(2)案件名
ニャッタン橋(日越友好橋)建設計画(第二期)
(3)目的・事業内容
ハノイ市内を流れる紅河に架かる橋梁及びアプローチ道路等を建設することにより,増加する交通需要への対応,物流の効率化及び交通渋滞の緩和を図り,もってハノイ市内及びベトナム北部地域の経済発展促進・国際競争力強化に寄与するもの。
供与限度額 | 金利 | 償還(据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
248.28億円 | 年0.2% | 40(10)年 | 日本タイド(本邦技術活用条件(STEP)) |
(注)コンサルタント部分は金利0.01%を適用。
(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
(ア)環境影響評価報告書は,2005年10月にベトナム天然資源環境省により承認済み
(イ)事業開始後の大気汚染,騒音・振動については,散水や土砂運搬時の荷台カバーの設置,現地の基準に適した建機の使用等の対策により,沿道の大気汚染及び騒音等の緩和が図られる予定である。
(ウ)約136ヘクタールの用地取得,369世帯の住民移転及び6法人事務所の移転を伴い,ハノイ市人民委員会が住民移転計画に沿って用地取得を進めている。
(エ)外部要因リスクは特になし。
(5)その他特記事項
本事業は気候変動による影響を軽減するため,橋脚数を減らし,ハノイ市の洪水リスクを軽減する設計となっていることから,気候変動への適応に貢献する。
(1)必要性
(ア)開発ニーズ
ベトナムの運輸セクターにおける貨物・旅客輸送量は近年の経済成長を反映し,ハノイ市,ホーチミン市の都市部,ハイフォン市等地方都市を結ぶ幹線道路において急激な増加を続けており,今後も増加が予想されている。ハノイ市を二分する紅河を渡る橋の日交通量についても,2010年を基準として,2020年には2倍に増加するものと予測されており,橋梁建設が喫緊の課題となっている。
ニャッタン橋は環状2号線の紅河を渡る区間であり,またノイバイ国際空港-ニャッタン橋間連絡道路(2009年度円借款案件)と接続し,紅河南側の既存中心市街と北側の新規開発地域を最短距離で結ぶ,交通ネットワーク上重要な橋梁であることから,本計画のニーズは高い。
(イ)我が国の基本政策との関係
2009年7月に改訂した国別援助計画は,1)経済成長促進・国際競争力強化(ビジネス環境整備・民間セクター開発,資源・エネルギー安定供給,都市開発・運輸交通・通信ネットワーク整備),2)社会・生活面の向上と格差是正(基礎社会サービス向上,地方開発・生計向上),3)環境保全(都市環境管理,自然環境保全),4)ガバナンス強化(行財政改革,法整備・司法改革)を重点分野としている。本計画は上記1)に資するものであり,我が国の基本政策とも合致する。
(2)効率性
構造形式の選定に際し,5連鋼斜張橋とすることにより,ベトナム側が希望する短い工期での架橋を可能とすることで,案件の効率性を確保する。
(3)有効性
本計画の実施により,事業完成2年後の2015年には,年平均日交通量56,566PCU/日(基準値(2010年実績値)35,141PCU/日),所要時間の短縮(金額換算で年間約4,636億ドン)及び走行費用の低減(年間約9,573億ドン)が可能となる。それにより,ハノイ市において増加する交通需要への対応,物流の効率化及び交通渋滞の緩和が図られ,もってハノイ市内及びベトナム北部地域の経済発展促進・国際競争力強化に寄与する。また,ベトナムの経済・社会発展を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。
※PCU(Passenger Car Unit):大型車や二輪車等の大きさが異なる車両に対し特定の比率を乗じて,交通量を乗用車だけから構成されている場合の値に換算したもの。
要請書,これまでの国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html ),その他国際協力機構より提出された資料。
案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html )及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html
)を参照。
なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。