評価年月日 平成22年4月15日
評価責任者 国別開発協力第二課長 小野日子
(1)供与国名
ウズベキスタン共和国
(2)案件名
タリマルジャン火力発電所増設計画
(3)目的・事業内容
ウズベキスタン南部のタリマルジャンにおいて,アジア開発銀行(ADB)との協調融資により,コンバインド・サイクル・ガスタービン2基を導入し,同国における電力不足の緩和を図るもの。
供与限度額 | 金利 | 償還(うち据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
274.23億円 | 年0.45% | 30(10)年 | 一般アンタイド |
(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
(イ)EIA(環境影響評価):EIA報告書は2009年10月に国家環境保護局により承認済み。
(ロ)用地取得及び住民移転:既存の発電所敷地内で実施されるため,発生しない。
(ハ)外部要因リスク:特になし。
(1)必要性
(イ)開発ニーズ
ウズベキスタンでは,近年の順調な経済成長を維持するために発電容量の増加及び発電効率の改善が必要とされており,既存発電所の近代化と天然ガスを利用した新規電源開発を優先課題として掲げている。また,本件事業は,2009年3月の大統領決議において,2010~2014年に実施する電力セクターの国家プロジェクトとして位置付けられている。
さらに,順調な経済成長に伴い,電力需要が年平均2%のペースで拡大している一方,発電設備の老朽化と不足を抱えた現況のままでは,2014年には約1,200メガワットの需給ギャップが生じる見込みであり,発電量の増加が喫緊の課題となっている。
(ロ)我が国の基本政策との関係
2006年9月に策定した我が国の対ウズベキスタン国別援助計画においては,(a)市場経済発展と経済・産業振興のための人材育成・制度構築支援,(b)社会セクターの再構築支援,(c)経済インフラの更新・整備,(d)地域内協力の促進を掲げている。本件は,発電所を増設し,地域内への更なる電力供給も高める点で,(c)及び(d)に合致するものである。
(2)効率性
本件は,ACFAスキーム(ADBとの協調融資促進枠組み)の下でのADBとの協調融資案件であり,調達等の手続きをADBに委託することにより,支援における役割分担を踏まえて効率的な実施を図っている。
(3)有効性
拡大を続けるウズベキスタンの電力需要に対して,コンバインド・サイクル発電プラントを増設することにより,同国の安定的な電力供給の実現及びエネルギー効率の向上が図られることを通じて,同国の電力不足の緩和及び経済の成長が期待される(完成2年後(2016年)見込み:最大出力量740~900メガワット)。また,発電効率の改善による国産天然ガスの使用量削減と温室効果ガスの排出削減(年間約2,251,000トンの削減効果,最大出力900メガワットのコンバインド・サイクル・ガスタービン導入の場合)も期待される。さらに,ウズベキスタンの経済・社会の発展を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。
要請書,これまでの国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html ),その他国際協力機構より提出された資料。
案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html )及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html
)を参照。
なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。