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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成22年9月27日
評価責任者 国別開発協力第1課長 清水茂夫

1.案件概要

(1)供与国名
 タイ王国

(2)案件名
 バンコク大量輸送網整備計画(パープルライン)(II)

(3)目的・事業内容
 本案件は,バンコク北西部(バンヤイ)から中心部(バンスー)という交通渋滞の深刻な地域において,輸送ネットワークの効率性向上及び交通渋滞の緩和を図るために,都市鉄道(高架23キロメートル,駅舎16駅)を整備するもの。

(イ)主要事業内容
  • 土木工事(高架23 キロメートル,駅舎16駅,車両基地,軌道)
  • システム関連(信号・通信・電気設備,オペレーションコントロールセンター,改札)の整備
  • 車両の購入
  • コンサルティング・サービス
(ロ)供与条件
供与限度額 金利 償還(据置)期間 調達条件
166.39億円 年1.4% 25(7)年 一般アンタイド

(注)コンサルタント部分は金利年0.01%を適用。


(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

(イ)EIA(環境影響評価):EIA報告書は2007年2月までに国家環境委員会(NEB)の承認済み。

(ロ)用地取得及び住民移転:本案件は約40ヘクタールの用地取得と481世帯の住民移転を伴い,MRTA(タイ高速度交通公社)により用地取得法等に沿って手続きが進められている。

(ハ)外部要因リスク:特になし。

2.資金協力案件の評価

(1)必要性

(イ)開発ニーズ
 バンコク首都圏は経済発展とともに自動車への依存度が高まっており,バンコク特別区(バンコク首都圏の一部)の新規自動車登録台数が1998年の約402万台から2007年には約572万台となり,10年間で約1.4倍に増加する等交通渋滞が深刻化している。これにより,人の移動や物流に支障をきたし,自動車の排気ガスによる大気汚染が問題となっていることから,自動車に代替する輸送網の構築が緊急かつ不可欠な課題となっている。タイ政府はこの課題に対処するため,バンコク首都圏に7路線を整備する「大量輸送システム投資計画(2005~2012)」を策定し,このうちパープル,レッド,グリーン等5路線の建設が閣議で承認されている。

(ロ)我が国の基本政策との関係
 我が国は事業展開計画において,(a)「持続的成長のための競争力強化」,(b)「社会の成熟化に伴う問題への対応」,(c)「第三国に対する共同支援」のための支援を対タイ経済協力の3つの柱と位置付けており,本案件は,都市交通システムの整備,都市環境改善という観点から,上記(a)及び(b)に資するものであり,我が国の基本政策とも合致する。

(2)効率性

 効率的な実施及び運営維持管理を行うための事業実施体制の確立が重要との認識の下,公社(MRTA)を設立して事業実施に当たっている。

(3)有効性

 本案件の実施により,直接の効果として,完成2年後の2016年には,運行数246本/日,乗客輸送量1,816,546人・キロメートル/日が達成される見込みである。
 また,本案件により,バンコク首都圏の交通渋滞の緩和及び輸送力増強を図り,同国の都市環境の改善及び地域経済の発展に寄与,ひいては我が国との二国間関係の強化が期待される。

3.事前評価に用いた資料、有識者等の知見の活用

 要請書,これまでの国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html 他のサイトヘ),その他国際協力機構より提出された資料。
 案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html 他のサイトヘ)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html 他のサイトヘ)を参照。
 なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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