評価年月日 平成23年3月4日
評価責任者:国別開発協力第二課長 小野日子
(1)供与国名
スリランカ民主社会主義共和国
(2)案件名
大コロンボ圏都市交通整備計画(フェーズ2)(第二期)
(3)目的・事業内容
コロンボ市郊外に,南部高速道路や主要国道と接続する4車線高速道路の一部区間(カドゥウェラ-カダワッタ間,約9キロメートル)の建設,インターチェンジの建設,料金所建設に係る機器設置等を行うもの。
供与限度額 | 金利 | 償還(据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
316.88億円 | 0.20% | 40(10)年 | 日本タイド |
(注)金利は,本邦技術活用条件(STEP)を適用。
コンサルタント部分は金利0.01%を適用。
コンサルタント部分は金利0.01%を適用。
(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
(イ)EIA(環境影響評価)
本事業に係る環境影響評価(EIA)報告書は,2001年5月に中央環境庁により承認済み。また,インターチェンジの形状変更により路線変更が行われた地域に関する補足EIA報告書については,2007年11月に承認済み。
(ロ)用地取得
約80ヘクタールの用地取得を伴い,323世帯の住民移転が見込まれている。スリランカ道路開発庁は用地取得・住民移転に係る住民協議を実施し,取得手続きを進めている。
(ハ)外部要因リスク:特になし。
(1)必要性
(イ)開発ニーズ
スリランカでは道路輸送が陸上輸送の約9割を担う一方,堅調な経済成長を背景に自動車保有台数は年間10.3%の比率で急増,経済活動の多くが集中するコロンボ都市圏においては2010年から2020年までの10年間に115万台から208万台へ倍増することが見込まれている中,既に慢性的渋滞が発生している。したがって,コロンボ外郭に高速道路を建設し,放射状に伸びる7つの幹線道路及び南部高速道路と接続する路線を建設することで,コロンボ都市圏の交通渋滞緩和及び高速道路・各国道との連結性を向上するニーズは高い。
(ロ)我が国の基本政策との関係
対スリランカ国別援助計画(2004年4月)においては,「平和の定着と復興に対する支援」と「中・長期開発ビジョンに沿った援助」の柱の下,(i)平和の定着(人道復旧支援等),(ii)経済基盤整備,(iii)外貨獲得能力支援,(iv)貧困対策支援,(v)防災を援助重点分野とし,ODA大綱及び国別援助計画等を踏まえ,地域・民族バランスも考慮しつつ,支援を行っていくとしている。本計画は,「対スリランカ国別援助計画」中の重点分野のうち「経済基盤整備」に該当するものであり,我が国の基本政策と合致する。
(2)効率性
同国における高速道路建設は南部高速道路が最初の案件であるが,高速道路の効率的な運営・維持管理を図るために,料金所システムを南部高速道路と同一とすることとしている。また,同国には現在我が国の技術支援「高速道路運営管理プロジェクト」が実施されており,高速道路の管理・運営等に係る助言を行っているところである。
(3)有効性
本計画の実施により,首都圏における道路交通渋滞の緩和,地方間の接続性の向上を図り,もってスリランカの物流促進に寄与することが期待される(事業完成2年後(2017年)の見込みは,年平均日交通量:42,186台/日,短縮所要時間の貨幣価値換算:3,694百万ルピー/年(1米ドル=約110.84ルピー))。また,スリランカの経済・社会の発展を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。
要請書,これまでの国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html ),その他国際協力機構より提出された資料。
案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html )及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html
)を参照。
なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。