評価年月日 平成22年6月15日
評価責任者 国別開発協力第一課長 清水茂夫
(1)供与国名
インドネシア共和国
(2)案件名
第三次気候変動対策プログラム・ローン
(3)目的・事業内容
本計画は,政策対話を通じて次の3点に係る支援を実施し,インドネシアが進める気候変動対策を後押しするもの。(イ)温室効果ガスの具体的な削減目標を達成するための主要課題,(ロ)温室効果ガス排出抑制・吸収による温暖化緩和,(ハ)気候変動の悪影響に対する適応能力強化への対応。
供与限度額 | 金利 | 償還(据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
271.95億円 | 0.15% | 15(5)年 | アンタイド |
(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
特になし。
(1)必要性
(イ)開発ニーズ
インドネシアは,伐採や火災による森林の減少及び泥炭地荒廃等を含めると,中国,米国,ブラジルに次ぐ世界第4位の温室効果ガス排出国とも言われている他,経済発展に伴ってエネルギー分野からの排出量が急増しており,地球温暖化対策の重点国である。
また,インドネシアでは,温暖化の進展に伴い年間降雨パターンが変化することなどによる,農業をはじめとするインドネシアの主要産業に与える悪影響や災害リスクの増大が,同国の持続的な開発の重大な阻害要因となることが予想される。このような状況を踏まえると,本件のニーズは大きい。
(ロ)我が国の基本政策との関係
平成21年12月COP15において,気候変動対策に関する我が国の2012年までの途上国支援が発表されたが,本計画は右支援の一環。
なお,2004年11月に策定された我が国の「対インドネシア国別援助計画」においては,我が国支援の三つの柱の一つである「民主的で公正な社会造り」において,環境保全への支援を掲げている。これらに鑑みると,本件は我が国の基本政策に整合している。
(2)効率性
本計画は,あらかじめ日インドネシア間で設定する「政策アクション」の達成を受けて借款が供与されるという政策制度の支援であり,「政策アクション」の達成状況の評価を両国により構成される諮問委員会(年3回を目途に開催)にて検証することで,案件のより一層の効率性を確保している。
(3)有効性
本計画の実施により,政策対話を通じて,インドネシアが掲げる温室効果ガスの具体的な削減目標(2020年までに特別な対応をとらない場合に比べて26%減)を支援し,温室効果ガスの排出の抑制・吸収が図られ,併せて気候変動に伴うリスクの軽減・適応能力の強化に寄与することも期待される。さらには,インドネシアの経済・社会発展を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。
要請書,これまでの国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html ),その他国際協力機構より提出された資料。
案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html )及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html
),インドネシア政府公表によるNational Action Plan Addressing Climate Change(http://climatechange.menlh.go.id/index.php?option=com_docman&Itemid=26&task=docclick&bid=17&limitstart=0&limit=5
)を参照。
なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。