評価年月日 平成23年1月7日
評価責任者:国別開発協力第二課長 小野日子
(1)供与国名
インド
(2)案件名
ヤムナ川流域諸都市下水等整備計画(III)
(3)目的・事業内容
インド北部のデリー首都圏において,既存の下水道施設の改築・更新及び住民向け啓発・広報活動等を実施するもの。
供与限度額 | 金利 | 償還(据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
325.71億円 | 0.65% | 40(10)年 | 一般アンタイド |
(注)金利は,優先条件(基準)「地球環境・公害対策(公害防止)」を適用。 コンサルタント部分は金利0.01%を適用。
(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
(イ)EIA(環境影響評価)
影響を及ぼしやすいセクター・特性及び影響を受けやすい地域に該当せず,環境への望ましくない影響は重大でないと判断される。
(ロ)用地取得
用地取得及び住民移転は伴わない。
(ハ)外部要因リスク:特になし。
(1)必要性
(イ)開発ニーズ
インドにおける下水管接続率は都市部において約28%にとどまっており,また,人口や都市化の状況からデリー首都圏での下水発生量が最も多いことから,デリー等主要都市を流れるヤムナ川の水質を改善するためには,デリー首都圏にて下水道施設の整備を実施することが必要不可欠となっている。また,ヤムナ川の浄化は,インドにおける国家河川保全計画の中でも中核事業の一つとされており,本計画のニーズは大きい。
(ロ)我が国の基本政策との関係
2006年6月に策定された「国別援助計画」においては,今後の対インドODAの重点目標として,(a)経済成長の促進(「経済成長を通じた貧困削減」を追求するためのインフラの整備等),(b)貧困・環境問題の改善及び(c)人材育成・交流拡大(強固な二国間関係の構築を念頭)を掲げている。本計画は,流域諸都市住民の衛生環境の改善という観点から,同国の環境問題の改善に資する案件として上記(b)に資するものであり,我が国の基本政策とも合致する。
(2)効率性
下水道施設の効率的な運営・維持管理を図るために,本計画の実施機関及び本計画のコンサルタントは,本計画対象の下水道施設のみならず,実施機関の管轄区域である,ほぼデリー全域における下水道施設の運営・維持管理計画を策定し,また,本計画において,実施機関職員に対して,運営・維持管理に係る研修を実施する予定である。
(3)有効性
本計画の実施により,ヤムナ川の水質汚染の改善を図り,もって流域諸都市住民の衛生環境の改善に寄与することが期待される(平均放流BOD濃度(ミリグラム/リットル) :2次処理後20.9ミリグラム/リットル未満→2次処理後20ミリグラム/リットル未満・高度処理後10ミリグラム/リットル未満(完成2年後(2019年)見込み))。また,インドの経済・社会の発展を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。
要請書,これまでの国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html ),その他国際協力機構より提出された資料。
案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html )及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html
)を参照。
なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。