評価年月日 平成22年6月25日
評価責任者:国別開発協力第二課長 小野日子
(1)供与国名
ブラジル
(2)案件名
サンパウロ州沿岸部衛生改善計画(II)
(3)目的・事業内容
サンパウロ州沿岸部のバイシャーダ・サンチスタ地域において,安定的な下水道サービスの提供及び生活環境の改善,自然環境保全を目的として,下水道施設及び環境モニタリングシステムの整備を行うもの。
1)下水道整備
2)環境モニタリングシステム整備
3)コンサルティング・サービス
供与限度額 | 金利 | 償還(うち据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
191.69億円 | 1.8% | 25(7)年 | 一般アンタイド |
(注)下水管部分の金利は年2.5%を適用。
(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
(イ)EIA(環境影響評価)
同国国内法上,作成義務なし。
(ロ)用地取得:約219千平方メートル,住民移転:6世帯
用地取得・住民移転は同国内手続に基づき完了済。
(ハ)外部要因リスク:特になし。
(1)必要性
(イ)開発ニーズ
バイシャーダ・サンチスタ地域は,サンパウロ大都市圏と大西洋に囲まれた9都市からなり,ブラジル最大の貿易港であるサントス港及び州内有数の工業都市クバトン市を擁する工業地帯である。大都市圏に最も近い海岸行楽地としても開発が著しいが,下水道の整備が遅れており,同地域における下水管網の普及率は53%,サントス及びグアルジャ市を除く7市での普及率は23%と,全国水準の47%と比べ低い水準となっており,沿岸及び河川の水質汚染が深刻化している。このような状況を踏まえると,本計画のニーズは大きい。
(ロ)我が国の基本政策との関係
我が国の対ブラジル援助重点分野としては,(a)環境,(b)社会開発,(c)三角協力を掲げている。本計画は,ブラジル最大の人口と経済規模を有するサンパウロ州沿岸部の9都市において深刻化している沿岸及び河川の水質汚染対策の一環として実施されるものであるという観点から,同国の環境関連の支援として上記(a)に資するものであり,我が国の援助重点分野とも一致する。
(2)効率性
下水工事は複数契約にまたがる下水工事につき,調達機材及びスペアパーツを統一させることでコスト削減を図ることとした。また,これまで実施機関であるサンパウロ上下水道公社の職員約40人以上に対し,水分野の研修を実施しており,本件計画との高い相乗効果が見込まれる。
(3)有効性
本計画の実施により,安定的な上下水サービスの提供及び衛生改善が図れ,生活環境及び自然環境の保全が期待される。具体的には,事業完成2年後の2013年には,対象地域における汚水処理人口の増大(985千人→3,472千人),水質の改善(放流先近傍の100ミリリットルあたり大腸菌数5,000~20,000→250)が見込まれる。また,ブラジルの経済・社会発展への貢献を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。
要請書,これまでの国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html ),その他国際協力機構より提出された資料。
案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html )及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html
)を参照。
なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。