評価年月日 平成22年10月6日
評価責任者:国別開発協力第二課長 小野 日子
1.案件概要1-1.供与国名スリランカ民主社会主義共和国 1-2.案件名東部州5橋架け替え計画 1-3.本プロジェクトの目的 スリランカ中央州から東部州に向かう国道5号線上にある中小橋4橋の架け替え及び東部州国道15号線上にある河川通行道(コーズウェイ)及び橋梁の再構築を行うもの。 1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点以下の事項がスリランカ側により実施される必要がある。 (1)本計画により整備された施設・機材の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。 |
2.無償資金協力の必要性2-1.必要性(1)スリランカ政府の10か年開発計画「マヒンダ・チンタナ」(2006~2016)では、国民の収入格差及び地域格差の是正を掲げており,特に20年以上にわたる内戦の影響を受け,また,2004年のインド洋津波で甚大な被害を受けた東部州地域において,道路を含む地方の基礎インフラ整備による地方開発と貧困削減を目指している。 (2)本計画が対象とする国道5号線は,中央州の最大都市である古都キャンディから東部州の主要都市であるアンパラ,バティカロア方面を結ぶ幹線道路であるが,特に東部州内の区間では損傷の程度が激しい。東部州内の主要都市を海岸線沿いに南北につなぐ国道15号線は,2004年の津波被害でも大きな損傷を受けた。また,2007年7月に反政府武装勢力の「タミル・イーラム解放の虎」(LTTE)支配から解放され,東部州の復旧・復興はスリランカ政府にとって最重要課題となっている (3)このような状況から,本計画にて国道5号線上の中小橋梁,また東部州内の国道15号線上にあるパニチャンケニの河川通行道及び橋梁の再構築を行う実施の必要性は高い。なお,我が国もスリランカ支援の重点分野として経済基盤整備を挙げている。 2-2.効率性(1)本計画による諸橋梁の架け替えにより,国道の道路幅員不足が改善され,車線が1車線から2車線となる。スリランカ政府は「国家道路基本計画(2007年策定)」を推進しているが,本計画対象地では,他ドナーによる道路改良事業も進行しており,橋梁架け替えと国道の改良が同時に進展することにより,物資輸送能力の回復につながる。 (2)本件実施機関であり,国道を管理するスリランカ道路開発庁は,整備対象5橋の建設用地取得費,仮設ヤード,キャンプ用地取得費や公共施設移設費等を財政負担する。また,道路完成後の維持管理についても,東部州の各県には道路開発庁の支所もあり,要員を配置していることから十分な維持管理の実施が可能と判断される。 2-3.有効性(1)橋梁の架け替えにより,対象道路にて大型トラック(25トン)も通行可能となり,復旧復興のための資機材を含む物資輸送力が増大し,人の移動が活発化する。 (2)現在,損傷を受けた橋のために現在徐行もしくは時速40キロメートル程度での走行を強いられている状況から,時速70キロメートルでの走行が可能となり,移動時間が短縮される。 (3)輸送力拡大,移動時間短縮により,先進地域であるコロンボ圏と東部地域間のアクセスが改善され,経済活動活発化により経済・社会格差是正に寄与することができる。 |
3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等(1)スリランカ政府からの要請書 (2)JICAの基本設計調査報告書(JICAより入手可能) |