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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成23年1月24日
評価責任者:国別開発協力第三課長 石塚英樹

1.案件概要

1-1.供与国(地域)名

 セネガル共和国

1-2.案件名

 「ダカール州及びティエス州小中学校建設計画」

1-3.本プロジェクトの目的

 本計画は,人口増加率の最も高いダカール州及びティエス州の小学校12校78教室,中学校19校191教室等の建設,教育機材の供与及び学校運営維持管理等に関する技術指導を行うものである。供与限度額は,12.13億円。
 セネガルは,西アフリカの中心国の一つであるとともに,アフリカ連合(AU)で重要な位置を占めている。同国への支援は二国間の友好関係を深化させるだけでなく,西アフリカ全体の平和と安定に貢献するものである。同国は,アフリカ開発会議(TICAD)及びその課題の実施にも積極的に参加する等,我が国と良好な関係を維持している。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

(1)本案件は,小中学校の教室等の整備を主たる内容としており,特段の環境社会影響は想定されないところ,JICA環境社会配慮ガイドラインにおいてもカテゴリーC(環境社会への影響が最小限)に分類される。

(2)以下の事項がセネガル政府により実施される必要がある。
 (ア)本計画により建設される教室等の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。
 (イ)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)セネガル政府は,2000年に「教育・訓練10ヶ年計画」を策定し,2011年までに初等教育就学率96%,中等教育就学率47%を目標に掲げている。同国では,右目標の実現及び教育環境改善に向けて,小・中学校の教室の増加に取り組んできており,初等教育就学率は75.8%(2003年)から92.5%(2009年)に,また中等教育就学率は27.4%(2004年)から41.4%(2009年)へと年々改善されている。

(2)しかしながら,急激な生徒数の増加に対し,施設整備が不十分であり,藁葺きの仮設教室を建設したり,過密状態での教室の使用や,倒壊の危険がある老朽化した教室を使用して対応している状況である。また,小学校では,クラスを午前・午後に分割する二部制で授業を実施したり,中学校では複数クラスが合同で授業を実施する等の対応をしているものの,このような授業形態では,年間教育過程を修了させられず,生徒の学力低下のみならず,中途退学の要因にもなっている。このため,生徒数の増加に対応した教育環境改善が早急に必要である。

(3)このような状況に対し,セネガル政府は,人口増加率の最も高いダカール州及びティエス州の小中学校整備に必要な資金につき,我が国に無償資金協力を要請したものである。また本件は,我が国がアフリカ開発会議(TICAD IV)で表明した小中学校1,000校の建設支援及びミレニアム開発目標の達成に資することが期待され,本件実施の意義は大きい。

2-2.効率性

(1)平成18年度に実施した対セネガルコミュニティ開発支援無償「小中学校建設計画」をふまえ,対象地域,施設規模及び機材供与の範囲を決定し,事業の効率的・効果的実施に努めた。

(2)他ドナー(フランス開発庁)が実施した教室建設事業(面積,仕様,平米単価等)と本事業を比較した上で,適切な設計・仕様を決定するとともに,コスト削減に努めた。

2-3.有効性

(1)対象小学校12校における教室数が51から129に増加し,教室内の過密状況等が解消された適切な教育環境で学習できる生徒が約2,500名から,約6,000名に増加する。

(2)対象中学校19校における教室数が96から287に増加し,教室内の過密状況等が解消された適切な教育環境で学習できる生徒が約4,300名から,約13,000名に増加する。

(3)教育環境の改善により,対象地域(ダカール州及びティエス州)の就学率の上昇及び中途退学率の改善に寄与することが期待される。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)セネガル政府からの要請書

(2)JICA事業化調査報告書(JICAを通じて入手可能)



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