評価年月日 平成23年2月23日
評価責任者:国別開発協力第三課長 石塚英樹
1.案件名1-1.供与国名レソト王国 1-2.案件名中等学校建設・施設改善計画 1-3.目的・事業内容本計画は,レソト国内の中等学校6校の新規建設及び既存中等学校6校の施設拡充を行うことで,計画対象地域の就学人数を合計約3,800名増加させるとともに,教育環境の改善を図るものである。供与額は10億6,900万円であり,普通教室,理科実験室,教職員室及び教育用家具の整備を行うものである。 1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点以下の事項がレソト政府により実施される必要がある。 (1)本計画により整備される教育施設の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。 (2)先方政府が本計画により増員される教職員の人件費等の予算確保を適切に行うこと。 |
2.無償資金協力の必要性2-1.必要性(1)レソト政府は「教育セクター開発計画(2005-2015)」を策定し,2015年までに,中等教育の総就学率を85%まで向上させることを目標として,中等学校の建設を進めている。現状の総就学率は47.7%(2009年)にとどまっているものの,同計画により今後大幅な増加が見込まれる。一方では,中等教育就学者数の増加に対して中等教育施設の整備が追いついておらず,施設不足が大きな課題となっている。 (2)特に農村部では,中等教育適齢人口の80%が居住しているにもかかわらず,半数以上の学校が都市に配置されており,農村部における就学機会が著しく限られている。また,就学者数の増加により,小学校施設を応急的に中等教育施設として使用する学校が増え,理科実験室がない等の理由で中等教育のカリキュラムに沿った授業を実施できず,中等教育の質の低下が懸念されている。 (3)さらに,初等教育の義務教育化が定められたことにより,今後初等教育就学者数が増加し,これに伴う中等教育就学者数の増加も見込まれる。このような状況の下,レソト政府は中等学校の建設及び増設に努めているものの,同国の厳しい財政事情から十分な速度でこれを実施することが困難な状況にあるため,我が国に無償資金協力を要請したものである。 2-2.効率性(1)本計画を実施するに当たっては,中等教育レベルとしての学校運営・カリキュラム実施に最低限必要な施設及び機材の整備を行い,事業の効率的・効果的実施に努める。 (2)設計に当たっては,レソトの学校施設標準設計・仕様に準拠した計画を基本としながらも,自然条件,材料調達,施工及び費用等の面において改善すべき点を修正して,事業実施の効率化を図る。 2-3.有効性本件の実施により,以下のような成果が期待される。 (1)教室の新設及び増設により,新たに約3,800名の生徒の中等学校就学が可能となる。 (2)理科実験室が新たに整備されることで,教育環境が改善され,正規カリキュラムに沿った授業の実施が可能となる。 (3)我が国は,貧困削減及び人間の安全保障の観点から,教育等の基礎生活分野に係る人材育成を重点分野として対レソト支援を実施している他,TICAD IVにおいても小中学校の建設支援を表明しており,中等教育就学機会の拡大及び就学環境の整備を図る本件実施の意義は大きい。 |
3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等(1)レソト政府からの要請書 (2)JICAの概略設計調査報告書 |