評価年月日 平成22年9月30日
評価責任者:国別開発協力第一課長 清水 茂夫
1.案件名1-1.供与国名東ティモール民主共和国 1-2.案件名オエクシ港緊急改修計画 1-3.目的・事業内容 本計画は,東ティモール西部に位置するオエクシ県の港の改修,ターミナル等の整備,関連機材を供与するものであり,供与限度額は11.75億円である。 1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点(1)環境社会配慮 (2)外部要因リスク (3)東ティモール側負担事項 |
2.無償資金協力の必要性2-1.必要性(1)東ティモールは,独立に至る過程で1999年に大規模な破壊行為が発生し,オエクシ港の貨物船用の桟橋を含め,全国の約70%のインフラ施設が破壊された。同国は,2009年度の国家優先課題の全体テーマを「インフラの年」とするなど,インフラ整備を最重要分野と位置づけている。 (2)オエクシ県は同国の飛び地を形成しており,首都ディリ等との物資の輸送は週2便のフェリーに限られ,物価は高く,生活水準も低い。同国では,国内唯一の県担当の国務長官を配置するなど,同県の開発を重視している。 (3)オエクシ港では,貨物船用の桟橋が使用できないため,現在はフェリー用の港湾施設が用いられているが,潮位が低いときはフェリーでも着岸できず,旅客や車両は水に浸かりながら乗降せざるを得ない。安全確保及び見込まれる貨物量の増加への対応のため,貨物船も停泊できる港の改修が急務である。 (4)このような状況の下,東ティモール政府は,オエクシ港の改修等に必要な資金につき,我が国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。 2-2.効率性(1)貨物船の荷揚げ及び荷降ろしには時間がかかるため,貨物船及びフェリーが同時に停泊できる形状とすることが望ましいが,現在の港湾の使用頻度を踏まえ,支援の効率的実施の観点から,本計画においては,1隻ずつのみ停泊可能な形状とする一方,将来の需要の増加に合わせた拡張が可能な設計とした。なお,貨物船停泊中にフェリーが運航する際は,貨物船が一度沖に出ることになるが,その頻度は少ない。 (2)同港の地形は桟橋付近で急に深くなっており,桟橋の形状により,必要な杭の長さが大きく変わる。杭の長さは,その設置を含めると事業費用に与える影響が大きい。就航しているフェリーの乗降用階段を移設することで,杭を短く済ませることが可能であるため,東ティモール政府負担で同階段の移設を行うこととし,事業費用を圧縮している。 (3)また,ターミナルに設置する野外照明の数を必要最小限に抑える配置となるよう工夫している。
2-3.有効性(1)フェリーが円滑に桟橋に接岸することにより,旅客,車両,貨物等が海水に浸らずに乗降することが可能となり,利用の安全性と効率性が向上するとともに,現在1時間以上要することもある乗降時間が約50%短縮される。 (2)現在就航していない貨物船の就航により,安定した物流が図られる。 (3)首都ディリと飛び地であるオエクシ間の輸送の安定化,コストの減少により,オエクシ県の物資の安定的供給と,他の地域との格差是正が図られる。 |
3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等(1)東ティモール民主共和国政府からの要請書 (2)JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能) |