評価年月日 平成23年2月22日
評価責任者:国別開発協力第一課長 清水 茂夫
1.案件名1-1.供与国名カンボジア王国 1-2.案件名地方州都における配水管改修及び拡張計画 1-3.目的・事業内容プルサット,シハヌークビル,バッタンバンの各州都において,上水道整備にかかる配水管網の更新・拡張,水量監視システムの設置,給水栓接続関連の資機材供与,給水管接続,排水流量管理に関する技術指導を行い,安全な水の供給率を向上させるもので,供与限度額は27.60億円である。 1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点以下の事項が,カンボジア王国政府により実施される必要がある。 (1)用地取得(公用地の借り上げ)。 (2)配管敷設工事に伴う道路/橋梁/鉄道の各管理者への通知と許可等の取得。 (3)配水管の更新及び拡張に伴う給水管接続及び計量器の据付工事。 (4)工事期間中の粉じん,騒音,振動への対策。 (5)敷設工事用水の提供及び一次側受電設備の工事(電動流量制御弁)。 (6)調達された資機材と建設された施設の適切な維持管理。 (7)水道局職員の増員と適切な人員配置。 |
2.無償資金協力の必要性2-1.必要性(1)カンボジアは,2008年に国家開発戦略として定めた「四辺形戦略」(第二次)の四重点課題の一つ「インフラの復興と建設」に上水道の整備を挙げており,今後20年間で全国民に対して清潔で安全な水を供給し,飲料水に起因する水系疾患の撲滅を目標に掲げている。特に,都市給水に関しては,2015年までに安全な水の普及率を80%まで引き上げることを目標としている。 (2)同国は,これまでに各国等の支援を得て首都プノンペン市及び地方都市における上水道施設の整備を進めているが,プノンペン市以外の都市の給水能力は依然として低い。とりわけ,本計画の対象地であるプルサット,シハヌークビル,バッタンバンの各州都では,計約27万人の住民の内,都市水道による給水人口は約8万人(約30%)に留まっている。これは,2000年前半に世界銀行(シハヌークビル)及びアジア開発銀行(ADB)(プルサット,バッタンバン)の支援を受けて各浄水場を増強したものの,配水管網の老朽化による漏水や,配水管の敷設が不十分で浄水場の供給能力を活かせていないことに原因があり,対策が急務となっている。 2-2.効率性(1)給水普及率を都市部では目標値の80%まで引き上げるためには,浄水場と配水管網を拡張する必要があるが,緊急性を考慮し,浄水場の供給能力の範囲内で配水管を拡張する計画とした。 (2)事業効率を高めるため,現地調査の結果,漏水が顕著な市街地の老朽配水管を更新対象として絞り込むとともに,配水効率の向上及び給水管への接続密度の高さが期待される地域を拡張対象路線として選定した。 (3)本計画に必要な資機材は可能な限り現地調達とし,現地調達が不可能なもの及び品質・仕様等が現地調達可能な資機材で適合しないもののみ,日本あるいは第三国より調達する計画とした。 2-3.有効性(1)3州都(プルサット,バッタンバン,シハヌークビル)の最大給水量の合計が,18,830立方メートル/日から29,500立方メートル/日に増加する(増加分は,約5.6万人分の水需要に相当)。 (2)配水管内の適正な給水圧力が維持されることにより,給水栓からの水量・水圧不足が改善される。 (3)漏水が削減されることにより,各水道局の経営改善に寄与する。 (4)配水量管理システムに関する技術指導により,配水システムの的確な運用管理に寄与する。 (5)今後水需要が増す同国との関係を強化し,我が国民間企業が有する技術の普及・促進に資する。 |
3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等(1)カンボジア王国政府からの要請書 (2)JICAの準備調査報告書(JICAを通じて入手可能) |