広報・資料 報告書・資料

政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成22年10月20日
評価責任者:アフガニスタン支援室長 向 賢一郎

1.案件名

1-1.供与国名

 アフガニスタン・イスラム共和国

1-2.案件名

 「感染症病院建設計画」

1-3.目的・事業内容

 国家結核対策プログラム施設(カブール市ダルラマン地区)における感染症病院の施設(入院病棟(隔離病棟含む),外来部,中央診療部等)の建設,上記施設に対する医療関連機材の整備。供与限度額は26.43億円。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 (1)円滑な事業実施のため,今後カブール市における治安状況が著しく悪化しないこと。
 (2)案件実施に際して,アフガニスタン側負担事項が実施され,案件完了後も適切な維持管理がアフガニスタン側で図られる必要がある。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)保健・医療の脆弱なアフガニスタンでは,結核,HIV/エイズ,マラリアは最も被害の大きい感染症であり,その対策は急務となっている。実際,同国は世界22カ国の結核高負担国の一つであり,患者数は人口10万人中231人(WFP:2008年)であり,年間約6万人の患者が発生し,約2万人に近い死亡者数が推定されている。特に,近年は,結核患者の治療中断や医師の誤った処方等が原因で起こる「多剤耐性結核」(通常の抗結核薬が効かない結核菌による結核)が全結核患者の3.5%を占めるとされ,深刻な問題となっている。

(2)マラリアについても,地域によって罹患率の差はあるものの,同国全土で1,200万人が感染の危険があるとされ,年間300万人の新規患者の発生が推定されている。また,HIV/エイズに関しても,対策の遅れや麻薬使用による感染から今後の増加が危惧されている。

(3)しかしながら,現在のところ,同国には多剤耐性結核のような空気感染による人から人への感染力の高い重症患者を隔離治療するための入院施設はなく,自宅で療養する以外にない状況にある。

(4)このため,アフガニスタン政府は,同国の3大感染症である結核,HIV/エイズ,マラリアの対策を強化するため,重篤な多剤耐性結核や結核エイズ重複感染などの呼吸器感染症,及び重症マラリア等の集中・隔離治療,検査が可能となる感染症対策の病院の整備を計画し,その施設の建設及び医療関連機材の整備に必要な資金につき,我が国に無償資金協力を要請したものである。

2-2.効率性

 調査を通じ,アフガニスタン側の運営・維持管理体制等に適した供与内容とした。

2-3.有効性

 本計画の実施により,以下のような成果が期待される。

(1)本件病院建設により,結核・HIV/エイズ・マラリア対策に係る診断・治療サービスの質的・量的改善(入院患者数約180人/年,外来患者数が約780人/年,ともに2015年目標値)が図られる。

(2)3大感染症の検査および医療サービスが改善することにより,アフガニスタンの感染症対策の推進に寄与し,MDGsの目標達成に貢献する。

(注:但し,現地における治安情勢が悪化しないこと,また,適切な病院運営に必要となる人材,運営経費等が確保されることが効果発現の条件となる。)

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)アフガニスタン政府からの要請書

(2)JICAの概略設計概要書


このページのトップへ戻る
目次へ戻る