評価年月日 平成22年10月20日
評価責任者:アフガニスタン支援室長 向 賢一郎
1.案件名1-1.供与国名アフガニスタン・イスラム共和国 1-2.案件名「カブール県及びバーミヤン県灌漑・小規模水力発電整備計画」 1-3.目的・事業内容カブール県,バーミヤン県の河川流域における灌漑関連施設(取水口,灌漑水路,洪水対策用擁壁等)の建設及び小規模水力発電(500キロワット規模)3基の整備。政府(水・エネルギー資源省)及び農村コミュニティ(含ミラーブ:伝統的な水管理人)への水資源管理・施設維持に係る技術訓練等。供与額は13.56億円。 1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点円滑な事業実施のため,今後カブール県及びバーミヤン県における治安状況が著しく悪化しないこと。 |
2.無償資金協力の必要性2-1.必要性(1)アフガニスタンでは,内戦及び数年おきに発生した深刻な干ばつの影響により,主要産業である農業を含む国内の基幹インフラの殆どが破壊された。食料安全保障は依然として危機的な状況にあり,人口の約3分の1は食料援助に依存し,約70%の国民は栄養不足状態にある。他方,同国の農業生産拡大を図るためには,現在十分活用できていない同国の水資源の適切な管理と開発を通じた農作地の灌漑整備が不可欠である。 (2)アフガニスタン政府の主要農業政策においても灌漑整備を重点課題としている。本年7月のカブール国際会議において農業・農村開発分野の優先計画として採択された「水資源・灌漑開発プログラム」では,農業生産・生産性を今後5年間で20%高めることとし,そのために2013年までに10万ヘクタールの灌漑整備を目標に掲げ,国際社会からの支援を要請している。 (3)同国では,農村地域における電力不足も深刻な状況であり,水資源を活用した小規模水力発電施設による電力供給が求められており,重点支援県としてバーミヤン県が挙げられている。また,カブール県でも,首都カブール市から遠隔にある農村地域では,慢性的に電力が不足しており,小規模水力発電整備の必要性が高い。 (4)アフガニスタン政府は,FAOと協力し,重点課題である農業生産拡大及び生産性向上に資することを目的として,我が国の農業支援の重点地域でもあるカブール県及びバーミヤン県における灌漑施設整備,及び,同地域の農村コミュニティに対し電力供給を図るための小規模水力発電施設整備を実施するための無償資金協力を要請したものである。 2-2.効率性FAOによる要請書を精査の上,アフガニスタン側が運営・維持管理可能な供与内容にするとともに,我が方アフガニスタン大使館・JICA現地事務所等との調整を通じ,より高い援助効果が得られる内容とした。 2-3.有効性本計画の実施により,以下のような成果が期待される。(1)カブール県及びバーミヤン県の河川流域周辺の約24,000ヘクタールの農地が灌漑整備され,灌漑対象地域の1ヘクタール当たりの穀物収穫高が増加することが見込まれる。 (2)小規模水力発電施設の整備により,周辺の約2,000世帯分の電力が供給可能となり,農村コミュニティの生活環境が改善される。 |
3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等FAOによる要請書等 |