評価年月日 平成21年10月5日
評価責任者 国別開発協力第一課長 清水茂夫
(1)供与国名
ベトナム社会主義共和国
(2)案件名
中小企業支援計画(第三期)
(3)目的・事業内容
ベトナム国家銀行を通じたツーステップローン及び技術支援により、同国中小企業へ中長期的資金を供給することで、中小企業の資金アクセス改善を通じた民間セクター開発、持続的な経済成長の促進及び国際競争力の強化を図るもの。
供与限度額 | 金利 | 償還(据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
173.79億円 | 年1.2% | 30(10)年 | 一般アンタイド |
(注)コンサルタント部分は金利0.01%を適用。
(4)環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
サブプロジェクトが特定され次第、ベトナム政府により必要となる対応がとられる予定。なお、環境影響評価の承認を要する規模の大きいサブプロジェクトは想定されない。(1)必要性
(イ)開発ニーズ
ベトナムは、1986年のドイモイ(刷新)政策開始以降、著しい発展を遂げてきた。一時的には世界同時不況の影響を受けるものの、中長期的には再び高い経済成長へと回帰するものと見込まれている。そのためには、民間セクター開発の進展が前提となる。
国営企業改革が進められた結果、民間セクターはGDPの45.9%、企業全体の純利益の42.0%(いずれの数値も2007年)を占めるに至り、その大部分は中小企業(2006年末時点で総民間企業数の98%に相当)である。しかし、資金アクセスや経営ノウハウ・技術の不足等が、中小企業成長のボトルネックとなっている。
その要因は、金融システムが発展途上にある点と、昨今の経済危機(世界同時不況)を受け、銀行による貸し渋りが進んでいる点が挙げられる。ベトナム商工会議所(VCCI)によると、30~50%の中小企業が破産・買収の危機に瀕しているとのことであり、本計画のニーズは大きい。
(ロ)我が国の基本政策との関係
本年7月に改訂した国別援助計画は、1)経済成長促進・国際競争力強化(ビジネス環境整備・民間セクター開発、資源・エネルギー安定供給、都市開発・運輸交通・通信ネットワーク整備)、2)社会・生活面の向上と格差是正(基礎社会サービス向上、地方開発・生計向上)、3)環境保全(都市環境管理、自然環境保全)、4)ガバナンス強化(行財政改革、法整備・司法改革)を重点分野としている。本計画は上記1)に資するものであり、我が国の基本政策とも合致する。
(2)効率性
本計画の実施においては、前回フェーズでの実績を有する参加金融機関に対して融資を先行させることにより、即効性を高める。また、進捗状況を適切に監理することにより、案件の効率性を確保する。
(3)有効性
本計画の実施により、参加金融機関の中小企業への融資(2008年時点の融資残高約172兆ドン)を拡大し、中小企業の資金アクセス改善を図ることで、同国の民間セクター開発(融資対象企業の利益増大)、持続的な経済成長の促進、国際競争力の強化が期待される。また、ベトナムの経済・社会発展を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。
要請書、これまでの国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html )、その他国際協力機構より提出された資料。
案件に関する情報は、交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html)、借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html )及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html
)を参照。
なお、本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。