評価年月日 平成21年10月5日
評価責任者 国別開発協力第一課長 清水茂夫
(1)供与国名
ベトナム社会主義共和国
(2)案件名
貧困地域小規模インフラ整備計画(第三期)
(3)目的・事業内容
ベトナム国内の貧困地域において道路・電力施設・給水施設・灌漑施設等の小規模インフラを整備することで、貧困地域における公共サービスへのアクセスの改善、市場への物流促進及び農業生産性の向上を図るもの。
供与限度額 | 金利 | 償還(据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
179.52億円 | 年1.2% 年0.55% |
30(10)年 40(10)年 |
一般アンタイド |
(注)下段は上水道整備部分に対する供与条件。
コンサルタント部分は金利0.01%、償還(据置)期間30(10)年を適用。
(4)環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
サブプロジェクト毎に、ベトナム政府により必要となる対応がとられる予定。環境への望ましくない影響が重大と判断されるものはないが、一部のサブプロジェクトについては環境影響評価の作成が義務付けられており、詳細設計前までに同国法令で定められた機関により承認される予定。
(1)必要性
(イ)開発ニーズ
ベトナムの貧困率は、90年代の経済成長等により、1998年から2006年にかけ、37.4%から16.0%へ低下した。しかし地域間比較では、都市部貧困率が06年に3.9%と低下した一方、農村部貧困率は20.4%と高く、格差が存在している。その要因として、地理的要因(地勢的に不利な地域での居住)、社会資本要因(不十分なインフラ)等が考えられ、取り組むべき課題となっている。
そのため、ベトナム政府は、国家開発の基本指針である「10ヶ年社会経済開発戦略(2001~2010年)」において、貧困率が高い地方農村地域における基礎インフラ(道路、配電網、水道、灌漑施設等)整備の推進を掲げている。また、「第8次社会経済開発5ヵ年計画(2006-2010)」(以下、「SEDP」。)においても、特に農村部でのインフラ整備を推進し、農民の生活水準の向上、飢餓の撲滅、継続的な貧困者数の減少を目指しており、本計画のニーズは大きい。
(ロ)我が国の基本政策との関係
本年7月に改訂した国別援助計画は、1)経済成長促進・国際競争力強化(ビジネス環境整備・民間セクター開発、資源・エネルギー安定供給、都市開発・運輸交通・通信ネットワーク整備)、2)社会・生活面の向上と格差是正(基礎社会サービス向上、地方開発・生計向上)、3)環境保全(都市環境管理、自然環境保全)、4)ガバナンス強化(行財政改革、法整備・司法改革)を重点分野としている。本計画は上記2)に資するものであり、我が国の基本政策とも合致する。。
(2)効率性
貧困率の高い36省のうち北西部山岳地域及び中部高原地域の14省に事業箇所を集中することにより、規模メリットによるコスト縮減に配慮している。また、本計画の実施において進捗状況を適切に監理することにより、案件の効率性を確保する。
(3)有効性
本計画の実施により、対象地域において、雨天時の道路移動時間の約55%短縮、世帯電化率の向上(2009年約55%→2016年約98%)、給水人口の増大(2009年約16千人→2016年約289千人)及び灌漑施設受益面積の拡大(2009年約28千ヘクタール→2016年約31千ヘクタール)が実現する。これにより、貧困地域における公共サービスへのアクセスの改善、市場への物流の効率化及び農業生産性の向上等が図られ、同国の社会・生活面の向上と格差是正が期待される。また、ベトナムの経済・社会発展を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。。
要請書、これまでの国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html )、その他国際協力機構より提出された資料。
案件に関する情報は、交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html)、借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html )及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html
)を参照。
なお、本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。