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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成22年2月19日
評価責任者 国別開発協力第三課長 石塚 英樹

1.案件概要

(1)供与国名
 ケニア共和国

(2)案件名
 オルカリアI 4・5号機地熱発電計画

(3)目的・事業内容
 ケニアのリフトバレー州においてオルカリアI地熱発電所の4号機・5号機(70メガワット×2基)の建設を行うことにより、同国の電力需給逼迫の緩和及び供給の安定性の改善を図り、もって投資環境の改善等を通じた同国の経済発展に寄与するもの。なお、本計画は、再生可能エネルギーの利用を促進するものであり、地球環境負荷の軽減にも貢献する。

(イ)主要事業内容

  • 土木工事(発電所建設、生産井・還元井掘削、集蒸気システム建設、送電線建設等)
  • コンサルティング・サービス(設計、入札補助、施工監理等)
    (注)我が国円借款は土木工事部分の一部について実施するため、コンサルティング・サービス部分を含まない。

(ロ)供与条件

供与限度額 金利 償還(据置)期間 調達条件
295.16億円 0.2% 30(10)年 一般アンタイド

(4)環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

(イ)EIA(環境影響評価):環境社会影響評価(ESIA)報告書は2009年11月にケニア環境省により承認済み。

(ロ)土地収用及び住民移転:約242ヘクタールの用地取得、33世帯の住民移転を伴い、同国国内手続き及び実施機関策定の住民移転計画に基づき手続きが進められる。

(ハ)外部要因リスク:特になし。

2.資金協力案件の評価

(1)必要性

(イ)開発ニーズ
 ケニアにおける電力需要は、近年の経済成長を背景に、年間約5%増で推移しており、2008年度のピーク時電力需要は1,079メガワットに達した。ケニアの年間発電量の70%以上は水力発電に依存している中、2007年以降、3年連続で起こった大規模な干ばつにより、電力不足が深刻化している。天然資源の少ないケニアでは、水力・火力に替わるエネルギーとして地熱開発が行われており、同国の電力供給の安定化促進のため、更なる新規電源開発が課題となっている。
 また、ケニアの国家開発計画として2008年に発表された長期開発計画「Vision 2030」における具体的な電力開発は、「最少費用電力開発計画(LCPDP)」を基に推進されており、同計画の最新版である「LCPDP 2009-2029」では、多種にわたる電源や送電線の開発計画とともに輸入電力を計画に組み込んだ投資計画を明確化している。オルカリア地熱開発は、同計画における最優先事業に位置づけられており、本計画のニーズは大きい。

(ロ)我が国の基本政策との関係
 我が国の対ケニア国別援助計画では、「経済インフラ整備」を重点分野として掲げ、「産業活動に欠かせない電力供給の不足を緩和すべく、環境との両立や住民との関係に配慮した上でのエネルギー資源の開発」の支援を行うこととしている。また、第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)では、横浜行動計画においてアフリカの「クリーン・エネルギーの利用促進及びエネルギー・アクセスの改善」の方針が打ち出されている。今回の支援は、支援重点分野の経済インフラ整備のうち、開発課題「電力アクセス改善」に該当する。

(2)効率性

 本事業は複数のドナーが関与するが、事業監理にあたっては、調達同意手続きの遅延による事業進捗への影響を避けるため、定期的に進捗確認等を行う体制を構築し、関係者間での緊密な情報共有を図ることで、効率的な事業実施を行う。

(3)有効性

 本計画の実施により、事業完成2年後の2015年には、最大出力140(メガワット)、設備利用率93.4(%)、送電端発電量1,097(ギガワットアワー/年)が見込まれる。また、同国の電力需給逼迫の緩和、及び供給の安定性の改善、同国の投資環境の向上、経済発展に寄与することが期待され、二国間関係の強化が図られる。

3.事前評価に用いた資料、有識者等の知見の活用

 要請書、これまでの国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html 他のサイトヘ)、その他国際協力機構より提出された資料。
 案件に関する情報は、交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html)、借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html 他のサイトヘ)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html 他のサイトヘ)を参照。
 なお、本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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