評価年月日:平成22年3月15日
評価責任者:国別開発協力第二課長 小野日子
(1)供与国名
インド
(2)案件名
貨物専用鉄道建設計画(フェーズ1)(第二期)
(3)目的・事業内容
貨物専用鉄道建設計画は、インドにおいて急増する貨物輸送需要に対応するため、総延長約2,800キロメートルの貨物専用鉄道(西回廊(デリー・ムンバイ間)及び東回廊(デリー・コルカタ間))を建設する計画。このうち、我が国は、円借款による西回廊建設を支援することとしており、本計画は、西回廊(約1,500キロメートル)の一部区間(レワリ・バドーダラ間、約950キロメートル)について、本体工事に係る円借款を供与するもの。
(イ)主要事業内容
1)土木工事
2)電気・通信関連工事
3)車両調達
4)コンサルティング・サービス
(ロ)供与条件
供与限度額 | 金利 | 償還(うち据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
902.62億円 | 0.20% | 40(10)年 | 日本タイド |
(注)コンサルタント部分は金利0.01%を適用。
(4)環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
(イ)EIA(環境影響評価)
2009年8月に作成済み。
(ロ)用地取得:約4,430ヘクタール、住民移転:1,086世帯
2012年3月までに用地取得・住民移転・補償の手続きが完了する予定。
(ハ)外部要因リスク:特になし。
(1)必要性
(イ)開発ニーズ
インドでは、年率15%の急激な貨物需要の増加、特に、本計画区間であるデリー~ムンバイ間では、西部沿岸の国際港と内陸部主要都市間のコンテナ輸送の急増が見込まれ、現在の線路容量は2010年から2015年にかけて限界に達する見込みである。このような状況を踏まえると、本計画のニーズは大きい。
(ロ)我が国の基本政策との関係
2006年6月に策定された「国別援助計画」においては、今後の対インドODAの重点目標として、(a)経済成長の促進(「経済成長を通じた貧困削減」を追求するためのインフラの整備等)、(b)貧困・環境問題の改善及び(c)人材育成・交流拡大(強固な二国間関係の構築を念頭)を掲げている。本計画は、大容量の貨物輸送システムの導入という観点から、同国のインフラ整備に資する案件として上記(a)に資するものであり、我が国の基本政策とも合致する。
(2)効率性
効率的な実施及び運営維持管理のためには、財務的に自立した事業実施体制の確立が重要との認識の下、特別目的会社(SPV)を設立して事業実施に当たっており、完成後は同社が運営維持管理に当たることとしている。
(3)有効性
本計画の実施により、増加する貨物輸送需要への対応を図り、もって輸送能力増強の実現と交通渋滞の緩和を通じた地域経済の発展及び都市環境の改善に寄与することが期待される(完成2年後(2021年)見込み:走行車両数174本/日・双方向、輸送量264.2百万トン・キロメートル/日)。また、本邦技術活用条件(STEP)による円借款供与により、我が国の鉄道技術及び専門知識が活用される。さらに、インドの経済・社会の発展を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。
要請書、これまでの国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html )、その他国際協力機構より提出された資料。
案件に関する情報は、交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html)、借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html )及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html
)を参照。
なお、本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。