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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成22年2月24日
評価責任者 国別開発協力第三課長 石塚 英樹

1.案件概要

(1)供与国名
 エジプト・アラブ共和国

(2)案件名
 ガルフ・エル・ゼイト風力発電計画

(3)目的・事業内容
 エジプト紅海沿岸のガルフ・エル・ゼイト地域において220メガワットの風力発電施設等を建設し、急増する電力需要への対応、及び化石燃料使用抑制による温室効果ガス排出削減等を図るもの。

(イ) 主要事業内容

  • 220メガワットの風力発電施設の新設
  • 変電設備・連系線の増設等
  • コンサルティング・サービス(詳細設計、入札補助、施工管理等)

(ロ)供与条件

供与限度額 金利 償還(据置)期間 調達条件
388.64億円 0.3% 40(10)年 一般アンタイド

 :コンサルタント部分は金利0.01%を適用。

(4)環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

(イ)環境影響評価(EIA)報告書は2009年4月にエジプト環境庁により承認済み。(本計画のサイト予定地は希少種を含む鳥類の飛行ルートにあたるが、負の影響が生じる可能性が少ないエリアとされ、エジプト環境庁より開発事業許可が下りたもの。また、1)可視性を配慮した塗装、2)風車高さ制限(110メートル以下)、3)渡り鳥の飛行回廊の確保、4)航空障害灯の制限等の緩和策を導入予定。更に、工事中及び工事終了後もモニタリングを実施し、継続的に右緩和策の強化を予定。)

(ロ)用地取得及び住民移転は発生しない。

2.資金協力案件の評価

(1)必要性

(イ)開発ニーズ
 エジプトのエネルギー需要は1996年以降平均7.1%で増加しており、第6次5カ年計画では、8,547メガワットの発電施設を増設することを目標としている。
 一方、大気汚染が問題となっているエジプトは、新・再生可能エネルギー開発に積極的に取り組んでおり、2006年に首相を議長とするエネルギー最高評議会を設立。2011年までに整備する発電能力のうち、約12%を新・再生可能エネルギーとすること、また、2020年には全発電量のうち新・再生可能エネルギーの割合を20%とすることを目標としている(うち風力発電12%、水力発電8%)。また、第6次5カ年計画においても風力発電能力の増加目標値を765メガワット(2012年まで)と置いており、本計画のニーズは大きい。

(ロ)我が国の基本政策との関係
 我が国は、対エジプト国別援助計画及び事業展開計画において、(イ)持続的成長と雇用創出の実現、(ロ)貧困削減と生活水準の向上、(ハ)地域安定の促進を対エジプト経済協力の重点分野としている。本計画は(イ)に該当するものであり、我が国の基本政策とも合致する。

(2)効率性
 既存インフラ(舗装道路)を活用できるエリアを選定し、また、建設現場の掘削作業で発生した土砂を風車列間の道路建設に利用することで、コスト縮減を図る。また、本計画の実施において進捗状況を適切に監理することにより、案件の効率性を確保する。

(3)有効性
 本計画の実施により、事業完成2年後の2017年には、220メガワット規模の新・再生可能エネルギーによる発電施設の増設とこれに伴う年間867ギガワットアワーの追加的電力供給が期待できる。また、再生可能エネルギーの利用により、同規模の火力発電所を稼働させた場合に比して年間494,000トンの二酸化炭素排出量の削減が見込まれ、温室効果ガスの排出の抑制が図られることで気候変動に伴うリスクの軽減に寄与することも期待される。さらには、エジプトの経済・社会発展を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。

3.事前評価に用いた資料、有識者等の知見の活用

 要請書、これまでの国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html 他のサイトヘ)、その他国際協力機構より提出された資料。
 案件に関する情報は、交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html)、借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html 他のサイトヘ)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html 他のサイトヘ)を参照。
 なお、本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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