評価年月日 平成20年3月18日
評価責任者 有償資金協力課長 宮原隆
1.案件概要
(1)供与国名
ベトナム社会主義共和国
(2)案件名
ハノイ市環状3号線整備計画
(3)目的・事業内容
本計画は、ハノイ市環状道路3号線に、片側2車線の高規格道路を建設するもの。
供与限度額 | 金利 | 償還(据置)期間 | 調達条件 |
280.69億円 | 1.20% | 30(10)年 | 一般アンタイド |
(4)環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
(イ)EIA(環境影響評価):2007年11月にベトナム政府の承認済み。
(ロ)地取得及び住民移転:約8ヘクタールの用地取得、770世帯の住民移転が発生する見込みであり、国内手続きに従い進められる予定。
(ハ)外部要因リスク:特になし。
2.資金協力案件の評価
(1)必要性
(イ)開発ニーズ
ハノイ市では周辺地域からの流入人口増加により都市膨張が続いており、それに伴う交通需要の増加や交通渋滞の慢性化が多大な経済的損失をもたらしている。現在、ハノイ市においては都市道路網の整備が不十分であり、特に環状道路の整備を通じた都市部への流入・通過交通削減や混雑緩和の他、周辺地域との地域間交通の改善が重要課題となっている。
また、ベトナム政府は同市西方約30キロメートルにあるホアラック・ハイテクパークからハイフォン港、カイラン港(北部ベトナムの主要港湾)へのアクセス改善を重視しているが、今般要請の区間は、隣接する「紅河橋建設事業」で建設中の橋梁・アプローチ道路と合わせ、ハノイ市環状3号線の南側の主要な部分を占めることから、上記アクセス改善に不可欠なものと認識されている。このような状況を踏まえると、本案件のニーズは大きい。
(ロ)我が国の基本政策との関係
我が国は、対ベトナム国別援助計画において、1)成長促進(投資環境整備、中小企業・民間セクター振興、経済インフラ整備(運輸交通、電力、情報通信)、成長を支える人材育成、国営企業改革などの経済分野の諸改革)、2)生活・社会面での改善(教育、保健・医療、農業農村開発/地方開発、都市開発、環境)、3)制度整備(個別セクターに関連した制度整備、法制度整備、行政改革(公務員制度改革、財政改革))を3つの重点分野としている。本計画は、1)成長促進に該当し、我が国の基本政策に整合する。
(2)効率性
本案件の実施において進捗状況を適切に監理することにより、案件の効率性が確保される。
(3)有効性
本計画により、ハノイ市内の交通渋滞の緩和、及びホアラック・ハイテクパークからベトナム北部主要港湾や空港へのアクセスの改善が可能となる。また、長期的には、ベトナム経済・社会の活性化に、ひいては我が国との二国間関係の緊密化に貢献することが期待される。
3.事前評価に用いた資料、有識者等の知見の活用
要請書、環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html )、その他国際協力銀行より提出された資料。
案件に関する情報は、交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou.html)、借款契約締結後公表される国際協力銀行のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/archives/jbic/news.html )及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html
)を参照。
なお、本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力銀行が行う予定。