評価年月日 平成20年3月18日
評価責任者 有償資金協力課長 宮原隆
1.案件概要
(1)供与国名
ベトナム社会主義共和国
(2)案件名
南北高速道路建設計画(ホーチミン市-ゾーザイ間)(第一期)
(3)目的・事業内容
本計画は、べトナム南部において、南北高速道路の一部を構成するホーチミン市-ロンタイン-ゾーザイ間の高速道路を建設するもの。
供与限度額 | 金利 | 償還(据置)期間 | 調達条件 |
166.43億円 | 1.20% | 30(10)年 | 一般アンタイド |
(4)環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
(イ)EIA(環境影響評価):2007年10月にベトナム政府の承認済み。
(ロ)用地取得及び住民移転:約105ヘクタールの用地取得、324世帯の住民移転が発生する見込みであり、国内手続きに従い進められる予定。
(ハ)外部要因リスク:特になし。
2.資金協力案件の評価
(1)必要性
(イ)開発ニーズ
ベトナムでは、旅客輸送のうち道路交通が約84%、貨物輸送においても道路利用が67%を占め依然として道路交通がベトナムの主要な交通様式でありながら、ベトナム道路網の総延長約22万キロメートルのうち、国道・省道などの幹線機能総延長は約4万キロメートルと全体の約19%にすぎず、高速道路も整備されていないため、選択性の高い都市間道路ネットワークが未構築となっている。
かかる現状の中で、ベトナム交通運輸省は2005年8月に「ベトナム高速道路ネットワークマスタープラン(~2020年)」を策定し、2025年までの中・長期国内高速道路ネットワークの開発計画を提示し、総延長2,843キロメートル、21セクションの開通を目指し、2015年までに優先度の高い1,968キロメートル、2025年までに残りの875キロメートルを建設するとしている。また、高速道路の場合、交通事故後の早急な対応、渋滞情報、利用度データを活用した道路の維持管理等が必要になるので、ITS(交通管制設備)の導入が望まれている。このような状況を踏まえると、本案件のニーズは大きい。
(ロ)我が国の基本政策との関係
我が国は、対ベトナム国別援助計画において、1)成長促進(投資環境整備、中小企業・民間セクター振興、経済インフラ整備(運輸交通、電力、情報通信)、成長を支える人材育成、国営企業改革などの経済分野の諸改革)、2)生活・社会面での改善(教育、保健・医療、農業農村開発/地方開発、都市開発、環境)、3)制度整備(個別セクターに関連した制度整備、法制度整備、行政改革(公務員制度改革、財政改革))を3つの重点分野としている。本計画は、1)成長促進に該当し、我が国の基本政策に整合する。
(2)効率性
本案件の実施において進捗状況を適切に監理することにより、案件の効率性が確保される。
(3)有効性
本計画により、処理能力が限界に達している国道1号線、51号線の渋滞緩和、都市間移動の時間短縮を図り、工業発展の著しいホーチミン市周辺の交通需要増への対応が可能となる。また、長期的には、ベトナム経済・社会の活性化に、ひいては我が国との二国間関係の緊密化に貢献することが期待される。
3.事前評価に用いた資料、有識者等の知見の活用
要請書、環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html )、その他国際協力銀行より提出された資料。
案件に関する情報は、交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou.html)、借款契約締結後公表される国際協力銀行のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/archives/jbic/news.html )及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html
)を参照。
なお、本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力銀行が行う予定。