評価年月日 平成20年3月18日
評価責任者 有償資金協力課長 宮原隆
1.案件概要
(1)供与国名
フィリピン共和国
(2)案件名
中部ルソン高速道路建設計画
(3)目的・事業内容
本計画は、事業実施中の中部ルソン高速道路建設計画に関し、鋼材価格の高騰、ペソ高等を理由とする事業費の増大に対処するため、追加借款を供与するもの。
供与限度額 | 金利 | 償還(据置)期間 | 調達条件 |
171.06億円 | 0.95% | 40(10)年 | 日本タイド (コンサルティングサービスは二国間タイド) |
(4)環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
(イ)EIA(環境影響評価):2000年11月にフィリピン政府の承認済み。
(ロ)用地取得及び住民移転:対象用地の大部分は国有地であり、一部私有地が含まれているが、移転対象の住民140世帯は全て移転済み。
2.資金協力案件の評価
(1)必要性
(イ)開発ニーズ
本計画は、アロヨ政権の掲げる10ポイントアジェンダの中で提唱されている「地域で最高水準の国際サービス及び物流の拠点としてのクラーク及びスービックの開発」の具体的事業の1つであり、2006年の大統領施政方針演説では、インフラ整備を積極的に進める姿勢を示す具体的事業の一つとして、本計画が言及されているなど、アロヨ政権として重要事業の一つとして位置付けている。このような状況を踏まえると、本件のニーズは大きい。
(ロ)我が国の基本政策との関係
2000年8月に策定した対フィリピン国別援助計画に基づき、(1)持続的成長のための経済体質の強化及び成長制約要因の克服、(2)格差の是正(貧困緩和と地域格差の是正)、(3)環境保全と防災、(4)人材育成及び制度造り、を重点分野として支援を実施している。本案件は、(1)持続的成長のための経済体質の強化及び成長制約要因の克服に該当し、我が国の基本政策に整合するといえる。
(2)効率性
本件の実施において進捗状況を適切に監理することにより、案件の効率性が確保される。
(3)有効性
今般、追加円借款を供与することにより、本計画の資金不足分を補い、中部ルソン地域における物流の効率化を促進するという事業効果が十分発現されることになる。また、本計画を成功裏に終了させることにより、日比間の友好関係が促進されることが期待される。
3.事前評価に用いた資料、有識者等の知見の活用
要請書、環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html )、その他国際協力銀行より提出された資料。
案件に関する情報は、交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou.html)、借款契約締結後公表される国際協力銀行のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/archives/jbic/news.html )及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html
)を参照。
なお、本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力銀行が行う予定。