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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成19年4月2日
評価責任者 有償資金協力課長 岩間公典

1.案件概要

(1)供与国名
 イラク共和国

(2)案件名
 コール・アルズベール肥料工場改修計画

(3)目的・事業内容
 本案件は、イラク南部バスラ県にあるコール・アルズベール肥料工場に関し、緊急に必要となる機器の供給等を行うもの。

供与限度額 金利 償還(据置)期間 調達条件
181.2億円 0.75% 40(10)年 一般アンタイド

(4)環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

(イ)EIA(環境影響評価):不要

(ロ)用地取得及び住民移転:不要

(ハ)外部要因リスク:治安の変化、経済情勢の変化

2.資金協力案件の評価

(1)必要性

(イ)開発ニーズ
 イラクにおいて農業は全就業人口、GDPの約1割を占める重要産業である。農業生産を支える肥料については、現在イラク国内にベイジ工場及びコール・アルズベール工場の2ヶ所しかなく、ともに生産量が減少している。特に、コール・アルズベール工場はイラン・イラク戦争や湾岸戦争等の紛争や経済制裁により機器が老朽化し、予備品が不足したことにより、生産量が年間約26万トンまで低下した。このため、コール・アルズベール肥料工場に対して緊急に必要になる機器の供給を行うことにより、同工場の生産能力の向上を図る本案件のニーズは大きい。

(ロ)我が国の基本政策との関係
 国際的なイラク復興支援の枠組みの下、我が国は自衛隊派遣による人的貢献とODAによる支援を「車の両輪」としてイラク復興支援を実施してきた。ODAによる支援については、マドリッド会合において、「当面の支援」として電力、教育、水・衛生等イラク国民の生活基盤の再建及び治安の改善に重点をおいた総額15億ドルの無償資金供与、2007年までの中長期的な復興需要に対しては、上記の分野に加え、電気通信、運輸等のインフラ整備も視野に入れて、基本的に円借款により、最大35億ドルまでの支援を行うことを表明した。さらに、2007年2月に我が国は国際機関を通じ、基礎的生活分野(BHN)、治安、人材育成等の人道復興支援案件に対し、総額1億450万ドルの支援(緊急無償)を決定した。
 今後の我が国のODAの方針としては、(イ)エネルギー分野等のインフラ整備を支援し、イラクの成長・歳入増加を目指し、(ロ)人材育成、特に行政能力向上を重視し、(ハ)国民融和の観点からスンニ派・クルド地域への配慮も行うこととしており、イラクの成長に資する本案件は我が国の基本政策と整合する。

(2)効率性
 本案件の実施において進捗状況を適切に監理することにより、案件の効率性が確保される。

(3)有効性
 本案件の実施により、コール・アルズベール肥料工場における肥料の生産能力の改善を図り、もって肥料供給の増大を通じた農業生産性の向上と同国の経済・社会復興に寄与することが期待される。また、日イラク経済関係が強化され、二国間関係の増進、さらには我が国の安全と繁栄の確保に資することになる。

3.事前評価に用いた資料、有識者等の知見の活用

 要請書、F/S、環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html)、その他国際協力銀行より提出された資料。
 案件に関する情報は、交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou.html)、借款契約締結後公表される国際協力銀行のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/archives/jbic/news.html)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html)を参照。
 なお、本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力銀行が行う予定。

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