評価年月日 平成19年11月12日
評価責任者 有償資金協力課長 宮原隆
1.案件概要
(1)供与国名
インドネシア共和国
(2)案件名
災害復興・管理セクター・プログラム・ローン
(3)目的・事業内容
本計画は、インドネシアで発生した自然災害からの復旧・復興を支援するとともに、日本インドネシア「防災に関する共同委員会」の提言を踏まえた災害予防・軽減及び災害復旧・復興に係るインドネシア政府の政策・制度改善について既に達成された政策アクションを評価し、今後の取り組みを支援することにより、それらの継続及び促進を図り、もって災害被害の軽減及び効果的な災害復興・復旧の実施に寄与するもの。
供与限度額 | 金利 | 償還(据置)期間 | 調達条件 |
231.82億円 | 0.7% | 15(5)年 | アンタイド |
(4)環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
特になし。
2.資金協力案件の評価
(1)必要性
(イ)開発ニーズ
インドネシアは、地震、洪水、地滑り等の自然災害が多発し、自然災害発生件数は年々増加傾向にある。近年だけでも、2004年12月のスマトラ島沖大地震・津波災害、2006年5月のジャワ島中部地震災害、同年6月の南スラウェシ洪水・土砂災害、同年7月のジャワ島南西沖地震災害、2007年は、1月末のジャカルタ首都圏洪水被害、3月の西スマトラ州地震災害、9月のベンクル州沖地震災害が発生している。
自然災害による被害は、インフラや家屋等の物質的損失に留まらず、経済活動の停滞や貧困の増加等の経済的・社会的損失を伴い、同国の持続的な開発にとってのリスク要因の一つとなっている。また、これらの予期せぬ自然災害はインドネシア財政にとって大きな負担となっている。このため、防災の政策面での総合的・総括的な取組、耐震化、早期警戒体制構築等個別の主要分野の取組の両面から、総合的な防災推進を図ることが急務となっている。このような状況を踏まえると、本案件のニーズは大きい。
(ロ)我が国の基本政策との関係
我が国は2004年11月に策定した「対インドネシア国別援助計画」において、我が国支援の三つの柱の一つに「民主的で公正な社会造り」を掲げ、その中で環境保全と併せて防災への支援を掲げていることから、本件は我が国の基本政策に整合するといえる。
(2)効率性
本案件の実施において進捗状況を適切に監理することにより、案件の効率性が確保される。
(3)有効性
本案件の実施により、インドネシアの災害復旧・復興を支援するとともに、防災分野の政策・制度改善を通じて、災害被害の軽減及び効果的な災害復興・復旧の実施に寄与することが期待される。さらには、インドネシアの経済・社会発展を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。
3.事前評価に用いた資料、有識者等の知見の活用
要請書、環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html )、その他国際協力銀行より提出された資料。
案件に関する情報は、交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou.html)、借款契約締結後公表される国際協力銀行のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/archives/jbic/news.html )及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html
)を参照。
なお、本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力銀行が行う予定。