評価年月日 平成20年3月4日
評価責任者 有償資金協力課長 宮原隆
1.案件概要
(1)供与国名
インド
(2)案件名
デリー高速輸送システム建設計画(フェーズ2)(第三期)
(3)目的・事業内容
本案件は、首都デリーにおいて、地下鉄及び高架鉄道等による高速輸送システム建設計画(「デリーメトロ」)の第2フェーズ(約83キロメートル)の建設等を行うもの。
供与限度額 | 金利 | 償還(据置)期間 | 調達条件 |
721.00億円 | 1.2% | 30(10)年 | 一般アンタイド |
(4)環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
(イ)EIA(環境影響評価):作成済み。
(ロ)用地取得及び住民移転:用地取得が必要な土地は181.58ヘクタールであり、2008年9月までには取得できる見込みである。住民移転は発生しない。
(ハ)外部要因リスク:交通需要の変化。
2.資金協力案件の評価
(1)必要性
(イ)開発ニーズ
首都デリーの人口は、620万人(1981年)から1,630万人(2006年)に増加しており、これに伴う自家用車等の増加によって、市内での交通渋滞及び大気汚染が深刻化している。デリー州政府は上記の問題に対処するため、これまでデリー高速輸送システム建設計画を進めてきており、2006年に全線が開通した第1フェーズ(約59キロメートル)の延伸部分として、第2フェーズを整備することによって市内中心部と郊外の居住地域を結び、利便性を更に高めるための計画を立てている。このような状況を踏まえると、本案件のニーズは大きい。
(ロ)我が国の基本政策との関係
インドに対する我が国の国別援助計画においては、今後の対インドODAの重点目標として、(イ)経済成長の促進(「経済成長を通じた貧困削減」を追及するためのインフラの整備等)、(ロ)貧困・環境問題の改善及び(ハ)人材育成・交流拡大(強固な二国間関係の構築を念頭)を掲げている。本案件は同国のインフラ整備及び都市環境の改善という観点から、上記(イ)及び(ロ)に合致しており、我が国の基本政策に整合する。
(2)効率性
本案件の実施において進捗状況を適切に監理することにより、案件の効率性が確保される。
(3)有効性
本案件の実施によって増加する輸送需要への対応を図り、もって交通渋滞の緩和と交通公害の減少を通じた地域経済の発展及び都市環境の改善に寄与する。また、本件の実施によって経済関係が強化され、二国間関係の増進、さらには我が国の安全と繁栄の確保に資することが期待される。
3.事前評価に用いた資料、有識者等の知見の活用
要請書、F/S、環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html)、その他国際協力銀行より提出された資料。
案件に関する情報は、交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou.html)、借款契約締結後公表される国際協力銀行のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/archives/jbic/news.html)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html)を参照。
なお、本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力銀行が行う予定。