評価年月日 平成20年3月4日
評価責任者 有償資金協力課長 宮原隆
1.案件概要
(1)供与国名
インド
(2)案件名
ハリヤナ州送変電網整備計画
(3)目的・事業内容
本案件は、インド北部ハリヤナ州において、送電線及び変電所の新設による州内送変電網の整備を行うもの。
供与限度額 | 金利 | 償還(据置)期間 | 調達条件 |
209.02億円 | 0.65% | 15(5)年 | 一般アンタイド |
(4)環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
(イ)EIA(環境影響評価):不要。
(ロ)用地取得及び住民移転:用地取得が必要な土地は97.5ヘクタールであり、近々取得できる見込みである。住民移転は発生しない。
(ハ)外部要因リスク:電力需要の変化。
2.資金協力案件の評価
(1)必要性
(イ)開発ニーズ
ハリヤナ州は、首都デリーに隣接するグルガオン地区をはじめ、外国企業の進出、産業集積が急速に進んでいる州であり、同州のピーク時電力需要は年平均11.8%の割合で増加してきている。同州は、このような電力需要の増加に対応するため、州外からの買電とともに、新規電源開発を計画しているが、現時点での送変電網の設備稼働率は、ピーク時はほぼ100%、通常時でも85%程度に達しており、既に過負荷の状態にある。このような状況を踏まえると、本案件のニーズは大きい。
(ロ)我が国の基本政策との関係
インドに対する我が国の国別援助計画においては、今後の対インドODAの重点目標として、(イ)経済成長の促進(「経済成長を通じた貧困削減」を追及するためのインフラの整備等)、(ロ)貧困・環境問題の改善及び(ハ)人材育成・交流拡大(強固な二国間関係の構築を念頭)を掲げている。本案件は同国のインフラ整備という観点から、上記(イ)に合致しており、我が国の基本政策に整合する。
(2)効率性
本案件の実施において進捗状況を適切に監理することにより、案件の効率性が確保される。
(3)有効性
本案件の実施により、急増する電力需要に対応する安定的な電力供給を確保し、もって同地域の経済発展と生活水準向上に寄与する。また、本件の実施によって経済関係が強化され、二国間関係の増進、さらには我が国の安全と繁栄の確保に資することが期待される。
3.事前評価に用いた資料、有識者等の知見の活用
要請書、F/S、環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html)、その他国際協力銀行より提出された資料。
案件に関する情報は、交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou.html)、借款契約締結後公表される国際協力銀行のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/archives/jbic/news.html)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html)を参照。
なお、本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力銀行が行う予定。