評価年月日 平成20年3月18日
評価責任者 有償資金協力課長 宮原隆
1.案件概要
(1)供与国名
ブルガリア共和国
(2)案件名
ヴァルナ港及びブルガス港コンテナターミナル整備計画
(3)目的・事業内容
本計画は、急増するコンテナ貨物の需要に対応し、物流の効率化を図るため、ブルガリアの二大国際港湾であるヴァルナ港及びブルガス港において、コンテナターミナル及び関連施設・機器の整備等をおこなうもの。
供与限度額 | 金利 | 償還(据置)期間 | 調達条件 |
369.32億円 | 1.4% | 25(7)年 | 一般アンタイド |
(4)環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
(イ)EIA(環境影響評価):ブルガス港については、2008年2月にブルガリア政府の承認済み。ヴァルナ港については、2008年4月に承認予定。
(ロ)用地取得及び住民移転:本計画の対象地域は、既存の港内部もしくは地方自治体が所有している土地であり、用地取得及び住民移転を伴わない。
2.資金協力案件の評価
(1)必要性
(イ)開発ニーズ
ブルガリアは2007年1月にEU加盟を果たしたことなどを背景に、コンテナ貨物取扱量が大幅に増大している。ブルガリアの港湾貨物の大半を取扱う2大国際港湾であるヴァルナ港及びブルガス港の現状は、ヴァルナ港はコンテ5ナ専用ターミナルを有するものの、その貨物取扱能力は十分でなく、ブルガス港はコンテナ専用ターミナルすら存在せず、コンテナ貨物はバルク貨物と同じ施設で取り扱われ、異なる貨物が混在している状況である。また、両港において岸壁や背後の物流施設、クレーンなどの荷役機器は老朽化しており、非効率な作業が強いられている状況であり、将来の貨物取扱能力不足に備えた早急な施設整備による取扱能力の向上が不可欠である。このような状況を踏まえると、本件のニーズは大きい。
(ロ)我が国の基本政策との関係
2003年、ブルガリア側関係省庁と現地ODAタスクフォースとの間で行われた政策協議では、特に経済協力の重点分野として、1)市場経済化、2)農業、3)経済・社会インフラ、4)環境保全の4分野が双方の間で確認された。本案件は、経済・社会インフラを支援するものであり、我が国の基本政策に整合するといえる。
(2)効率性
本件の実施において進捗状況を適切に監理することにより、案件の効率性が確保される。
(3)有効性
本件の実施により、急増する貨物需要に対応すると共に物流の効率化を促進することが見込まれる。また、本案件を実施することにより、長期的には、ブルガリアの経済発展、さらには我が国との二国間関係の強化が期待される。
3.事前評価に用いた資料、有識者等の知見の活用
要請書、環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html )、その他国際協力銀行より提出された資料。
案件に関する情報は、交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou.html)、借款契約締結後公表される国際協力銀行のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/archives/jbic/news.html )及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html
)を参照。
なお、本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力銀行が行う予定。