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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成19年4月2日
評価責任者:無償資金・技術協力課長 和田充広

1.案件概要

1-1.供与国名

 ベトナム社会主義共和国

1-2.案件名

 「中部高原地域地下水開発計画」

1-3.目的・事業内容

(1)ベトナム中部高原地域において、地元住民が安全で衛生な水へのアクセスが可能になることを目的に、地下水を利用した給水施設の建設を行う。

(2)供与限度額は20億1,200万円
 平成19年度 4億800万円
 平成20年度 9億1,200万円
 平成21年度 6億9,200万円
 3省(コントゥム省、ザーライ省、ダクラク省)の5コミューン(郡)において、給水施設の建設(井戸、ポンプ、浄水施設、導・配水管、給水施設)および機材調達(井戸掘削機材、井戸掘削・調査支援機材)を行う。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がベトナム政府によって確保される必要がある。

(1)建設用地、工事用道路及び電力供給が確保されること。

(2)水道の各戸引き込みが行われ、施設・機材の適切な維持管理が行われること。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)ベトナム政府は、2000年に地方給水に関する計画「村落給水・衛生改善計画」を策定し、2010年までに地方住民の85%が安全かつ衛生な水を1日1人あたり60リットル利用可能になることを目標に掲げている。この国家計画のもと、1998年に32%だった全国の水道普及率は2004年には58%まで上昇した。

(2)しかしながら、ラオス、カンボジアと国境を接する中部高原地域は、少数民族が多く暮らす社会・経済開発が遅れた地域(「CLV開発の三角地帯」)であり、本件の対象地域(3省)の水道普及率は43.8%と全国で最も低いレベルにとどまっている。

(3)このような状況のもと、ベトナム政府はこの地域を対象とした「中部高原地域地下水開発計画」を策定し、地下水を水源とする給水施設の建設及び井戸掘削機材の調達につき、我が国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。

(4)本計画は、2004年4月に策定された対ベトナム国別援助計画の重点分野の一つである「農業・農村開発/地方開発」に合致している。

2-2.効率性

(1)ベトナム農業農村開発省は、2003年に我が国無償資金協力「北部地下水開発計画」において、供与した井戸掘削機材を用いた給水施設建設事業の経験を有していることから、実施能力は高い。

(2)ベトナムは低所得国であり、生活・社会面での改善を目的とする本件の実施については、ベトナム政府より高い優先順位を付して要請してきており、実施することによる効果は大きい。

2-3.有効性

(1)ベトナム中部高原地域の3省5コミューンにおいて公共水道網が整備され、対象地区の給水人口320万人のうち4万5千人(1.4%)の住民に対して安全で衛生な飲料水を安定供給することが可能となり、対象地域の水道普及率の上昇に寄与する。(現在43.8% が2009年に45.2%まで上昇)

(2)建設された給水施設が開発モデルとなり、ベトナム政府の自助努力により地方給水施設の普及拡大が可能となる。また、生活・衛生レベルが向上し水質低下に起因する皮膚病、下痢、眼病等の罹患率減少が期待できる。

(3)2006年10月のズン首相訪日の際には首脳間で初の共同声明を発表し、アジアの平和と繁栄のための戦略的パートナーシップに向け両国関係を更に強化することで合意しており、本件は日越両国の協力関係を強化するものである。

(4)2007年1月の日ASEAN首脳会議では、今後3年間メコン地域を我が国経済協力の重点地域としてODAを拡充する旨打ち出しており、「CLV開発の三角地帯」を対象とする本件の実施による外交効果は極めて大きい。

3.事前評価に用いた資料、有識者の知見等

(1)先方政府からの要請書。

(2)JICA基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)。

(2)無償資金協力適正会議(概要については外務省のODAホームページ参照
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki.html)。



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