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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成19年4月4日
評価責任者:無償資金・技術協力課長 和田充広

1.案件名

1-1.供与国名
 タンザニア連合共和国

1-2.案件名
 「キルワ道路拡幅計画(2/2期)」

1-3.目的・事業内容
(1) 本計画は、ダルエスサラームにおいて、都市道路であるキルワ道路の混雑緩和を目的とし、現在片側1車線である道路を、片側2車線道路とするための拡幅整備を行う。
第2期は本計画対象区間11.6キロメートルのうち、5.0キロメートル~11.6キロメートルの区間6.6キロメートルの道路拡幅整備を行うものである。
(2) 供与限度額は14億9,700万円。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
 以下の事項がタンザニア政府により実施される必要がある。
(1)本計画により拡幅された道路の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。
(2)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。
2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性
(1) タンザニアでは、「貧困削減戦略計画」(2000年10月策定)において、物資と人々の移動に対するサービスを向上させるための都市及び農村へのアクセス改善、幹線道路・地方道路の改修及び維持管理に対して高い優先度を掲げている。同貧困削減戦略計画に基づく道路分野に対する10ヵ年計画(2001~2011)においては、ダルエスサラーム市内主要道路の拡幅計画と、既存の放射状幹線道路網とそれらを接続させる環状道路の整備は、経済社会活動の促進のみならず市民生活の改善をも目的とした優先課題として位置づけられており、本件無償資金協力が対象としているキルワ道路の4車線化もこのプログラムに組み込まれている。
(2) ダルエスサラームの市内道路は、タンザニア経済の復興に伴う都市の急激な拡大と交通需要の目覚ましい増加によって、交通集中が激化しており、深刻な交通混雑が発生している。タンザニア政府は混雑緩和のための対応が急務であることは理解しているものの、財政難により状況改善のための対応が困難な状況にある。
(3) このような背景の下、タンザニア政府は上記問題に対処するため、本計画を策定し、我が国に無償資金協力を要請してきたものである。

2-2.効率性
(1) 本計画を実施するにあたり、ダルエスサラーム首都圏における道路混雑を解消することを目的とした世界銀行が主導しているバス専用レーン構想(注:道路の中央にバス専用道路を敷設することにより朝夕の混雑緩和を見込んでいる)を踏まえ、本計画道路の中央部にスペースを確保した設計を行っている。
(2) 本道路の維持管理については、道路の管理能力向上を主たる目的とした技術協力プロジェクト「道路メンテナンス監理能力支援」をJICAにて同時に実施しており、本計画の効率性を高めている。

2-3.有効性
(1) 本件の実施により以下の成果が期待されている。
(イ)キルワ道路の片道1車線を2車線化することにより、現在、対象区間において朝夕の通勤・通学のピーク時(朝6時から9時、夕16時から20時)の混雑による平均速度:7キロメートル毎時が、20キロメートル毎時に改善され移動時間が短縮される。
(ロ)キルワ道路は、テメケ市を縦断する都市道路及び南部地方への幹線道路の機能ももっているため、本計画の実施によりテメケ市民80万人及び南部沿岸地域住民270万人の合計350万人が裨益する。
(ハ)通勤通学時に利用する乗り合いバスの利便性が向上することにより、移動手段として欠かせないものとして利用している低所得者に裨益する。
(2) タンザニアはアフリカにおける最重点支援国の一つであり、また、従来、基礎生活(BHN)分野及び基礎的なインフラ整備の分野において、経済社会開発の面を重視しつつ積極的に援助を行う方針を掲げており、本案件は我が国の対タンザニア支援の基本政策に合致している。
(3) 我が国の対アフリカ外交の基軸であるTICADプロセスにおいても、インフラ整備を含む経済成長を通じた貧困削減を重点事項として位置づけており、本案件は我が国の対アフリカ開発支援策とも合致している 。
(4) 本計画の実施により、日本とタンザニアの二国間関係強化への効果が期待される。
3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1) タンザニア政府からの要請書
(2) JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)
(3) 無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/kaikaku/ugoki.html


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