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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成19年3月14日
評価責任者:無償資金・技術協力課長 和田充広

1.案件名

1-1.供与国名
 パラオ共和国

1-2.案件名
 「首都圏基幹道路改修計画」

1-3.目的・事業内容
 本プロジェクトは、首都圏幹線道路の老朽化が進んだ区間を改修することによってその機能を回復し、先行して実施されている「島間連絡道路改修計画」とともに、首都圏域における安全で円滑な道路交通を確保することを目的とする。供与限度額は14億500万円(国庫債務負担行為。平成19年度4億2,600万円、平成20年度9億7,900万円)であり、コロール州からアイライ州に及ぶ基幹道路の一部の合計約12.5キロメートルの道路の改修・整備を行うものである。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
 以下の事項がパラオ共和国政府により実施される必要がある。
(1)本計画により改修された道路の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。
(2)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。
2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性
(1) パラオは、米国援助に対する依存的経済体質から自立した発展を遂げることを目的に、1996年に「国家開発計画パラオ2020(1996-2020)」を策定した。当該経済開発目標を達成するため、社会基盤整備が最重要課題として位置づけられているところであり、その中でも「首都圏幹線道路改良プロジェクト」は、同国の道路交通セクターにおける公共セクター投資プログラム(2003-2007)の中で最重要課題に位置づけられる。
(2) 本案件で対象となる首都圏幹線道路は、都市機能が集積しているコロール島、国際港があるマラカル島、大統領府や国立病院があるアラカベサン島、及び国際空港や新首都が建設中であるバベルダオブ島を結ぶパラオで最も重要な道路である。パラオの道路は、約70年前の日本委任統治時代に建設されたが、1994年の改修以降大規模な改修を行っておらず、老朽化による損傷が顕著となっており、渋滞が頻発する原因となっている。また、十分な排水設備等が確保されていないため、舗装の損傷に歯止めが利かず、かつ交通量も増加の一途をたどっていることから、交通問題の深刻化に拍車がかかっているのが現状である。
(3) このような状況にあって、パラオは、米国からの独立後、年間40~50万米ドルの予算を割り当て、降雨後に出来る穴埋めなどの応急修理を実施するなど、維持管理を続けてきてはいるものの、本件のような大規模かつ抜本的な改修工事は財政難から困難であり、舗装損傷の急速な進行に追いつけない状況に陥っている。
(4) このような背景のもと、パラオ共和国政府は、上記問題に対処するために本件計画を策定し、我が国に無償資金協力を要請してきたものである。

2-2.効率性
(1) 本件を実施するにあたり、対象道路の走行性、舗装の損傷度合い、たわみ量を定量的に評価し、「改修の必要がないもの」から、「部分的な路盤強化と表層の新設を施すもの」まで改修タイプを区分した上で、各対象道路の改修タイプを決定している。
(2) 上記の設計方針に基づき、全ての区間に一律の補修を施すのではなく、現状を踏まえた必要最小限の補修を実施することにより、コスト削減を図り、本案件の効率性を高めている。

2-3.有効性
(1) 本件の実施により、以下のような成果が期待される。
・基幹道路の交通容量が増加し、交通の流れが円滑になる。
・長時間の冠水による交通障害の頻度が低減される。
・歩車道分離により、歩行者を巻き込む交通事故(車道外)が減少する。
・道路交通の円滑化により、地域開発、首都圏の機能向上、経済活性及び医療・教育施設など社会サービスへのアクセス向上に繋がる。
(2) また、同国の国家開発計画においても、社会基盤整備が最重要課題として位置づけられており、道路インフラを整備する本案件は、同国における開発効果が大きい。さらに、第4回日本・太平洋諸島フォーラム首脳会議において、経済成長、持続可能な開発、良い統治、安全確保及び人と人との交流を重点分野とする支援策を表明しており、道路インフラの整備は同支援策とも合致する。
(3) さらに、本計画の実施により、日本とパラオの二国間関係強化への効果が期待され る。
3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1) パラオ共和国政府からの要請書
(2) JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)
(3) 第31回無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/kaikaku/ugoki.html


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