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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成19年5月10日
評価責任者:無償資金・技術協力課長 和田充広

1.案件名

1-1.供与国名

 モンゴル国

1-2.案件名

 「ウランバートル市廃棄物管理改善計画」

1-3.目的・事業内容

 本プロジェクトは、急激な人口増加及び生活様式の変化に伴い、廃棄物(ごみ)の排出量が急増しているモンゴル国ウランバートル市において、新しい最終処分場を建設すると共に、ごみ収集運搬用機材、埋立処分用機材、及び、環境モニタリング機材を供与し、ウランバートル市民の生活環境の改善に寄与しようというものである。
 供与限度額は10.14億円。具体的にはナラギンエンゲル新規最終処分場の建設、コンパクターやダンプトラック等の収集運搬用機材・ブルドーザー等の埋立処分用機材の供与とともに、最終処分場における安全かつ衛生的な埋立方法や機材管理のための教育・訓練といった技術指導も実施される。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がモンゴル国政府により実施される必要がある。

(1)本計画により建設された最終処分場の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。

(2)本計画により供与された機材(ごみ収集運搬用機材、埋立処分場用機材)の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。

(3)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)モンゴルの首都ウランバートル市においては、急速な人口増加(人口約89万人。モンゴルの全人口の約4割が集中)と生活様式の変化に伴い廃棄物(ごみ)の排出量が急増し、ごみ問題が大きな問題となっている。特に、ゲル地区と呼ばれる貧困地区においては、住民の不法投棄の増加や収集車の不足・老朽化により、廃棄物の収集率が上がらず、住民の生活に多大な影響を与えている。

(2)既存のウランチュルート処分場は、環境対策を講じていないオープンダンピング状態であり、野外投棄されたごみが自然発火した火災による大気汚染や、ごみからの浸出水による水質汚染等の問題が生じている。また、同処分場は来年には満杯になり、閉鎖されることが決定している。

(3)モンゴル政府は2001年以降、「モンゴル国家行動計画」や「廃棄物管理強化方針」により、廃棄物対策に積極的な取組みを開始した。我が国は、2004年12月からモンゴル政府の要請を受け開発調査「ウランバートル市廃棄物管理改善計画」を開始し、結果として「廃棄物管理マスタープラン(2005~2020)」を策定し、計画目標年である2020年までに、ウランバートル市に環境保全と調和する廃棄物管理システムを確立することを目指すこととなった。

(4)その後、モンゴル政府は、マスタープランを実現し、ウランバートル市において廃棄物が適切に収集・運搬・最終処分され、住民の生活環境の改善に寄与することを目的として、必要な資金につき我が国に無償資金協力を要請越したものである。

2-2.効率性

(1)本件を実施するにあたり、初期投資を無償資金協力で支援することにより、急激な負担の増加を軽減することができ、社会的軋轢(ゲル地区に対する収集サービス資金を一般市民が過剰に負担させられているといった市民の不満)を回避しつつ、可能な限り多くの市民にごみ収集サービスが提供できるように機材の数量の精査を行った。

(2)また、機材の数量を精査する際には、リサイクル草の根無償で日本から輸送されたごみ収集車の稼動計画も考慮に入れるなど、他の協力との連携にも留意した。

2-3.有効性

(1)本件の実施により、以下のような成果が期待される。

  • ナラギンエンゲル新規最終処分場が建設され、ウランバートル市中心部から出るごみの9割以上の最終処分を行うことが可能となる。
  • ごみ収集運搬用機材が整備されることで、2010年を目標に、ゲル地区を含むウランバートル市内対象地域にごみ収集サービスが提供される。特に、ゲル地区においてはごみ収集率が大幅に改善(42%→80%)し、不法投棄が減ることで生活環境が改善される。
  • 埋立用機材が整備されることで、ナラギンエンゲル新規処分場においては衛生埋立(即日覆土)が、既存のモーリンダワ処分場においては準衛生埋立(毎日ではないが定期的に覆土)が実施されることから、処分場周辺の環境が改善される。
  • ・技術指導の実施により、環境社会に配慮した最終処分の運営が確保される。

(2)本年2月にはエンフバヤル・モンゴル大統領が訪日し、安倍総理との間で「日本・モンゴル共同声明」「今後10年間の日本・モンゴル基本行動計画」を策定・公表したところ、本計画の実施により、我が国とモンゴルの二国間関係がさらに強化されることが期待できる。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)モンゴル国政府からの要請書

(2)JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)

(3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki.html



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