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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成19年10月5日
評価責任者:無償資金・技術協力課長 柴田 裕憲

1.案件名

1-1.供与国名

 ベナン共和国

1-2.案件名

 「第四次小学校建設計画」

1-3.目的・事業内容

(1)本計画は、ベナンの中南部地域に位置するクフォ県、ズー県、コリーヌ県及びダンボ市(ウエメ県)において、小学校教室の建設等を行うものである。本計画の実施により、教育環境の整った教室で学習できる児童を増加させることを目的とする。供与額は10億3,000万円であり、小学校57校において275教室の他、教員室、トイレ棟を建設し、また施設を長期的に維持管理させていくための運営維持管理指導を行うものである。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がベナン政府により実施される必要がある。

(1)本計画により建設された小学校の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。
(2)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)ベナンは、2003年に公布された「教育基本法」及び「貧困削減戦略文書(PRSP)」や「万人のための教育(EPT)」の政策方針に基づき、「教育分野開発10ヵ年計画(PDDSE)」(2006年~2015年)を策定し、「全国民の教育を保証し、教育の質を改善する」ことを目標に定めている。国家予算の23%を教育分野に配分し、初等教育の機会均等を含む就学率の向上、教育の質の改善及び男女間格差や地域間格差の解消等教育改善に取り組んでいる。この結果、我が国政府をはじめ各ドナーからの支援もあり、同国における就学率は2005年までに94%と大幅に改善してきている。

(2)しかし、急激な就学児童の増加は、教室の不足及び過密化の深刻な問題を招き、このため多くの学校で劣化した日干しレンガや簡易木造による校舎により授業を実施せざるを得ず、このような劣悪な教育環境は、教育の質の低下とともに低い学業継続率(54%、2005年)をもたらしている。

(3)同国政府は、上記「10ヵ年計画」において2015年までの10年間で25,000教室の建設が必要としているが、この目標を達成するための予算は不十分であるとして、我が国政府に対し教室建設に必要な資金につき支援を要請してきたものである。

2-2.効率性

(1)本計画による建設、増設対象校の選定にあたり、ベナン政府より提出された要請対象校それぞれについて、施設建設の緊急性、妥当性(教員確保の見通し、他ドナーとの重複の有無等)を確認した上で、建設計画候補とするサイトの選定や、学校ごとの適切な施設内容の検討を行うことで、効率性を高めている。

(2)本計画は、コミュニティ開発支援無償を活用して実施される案件であり、資機材は全て現地調達とし、また現地の教育施設建設に標準的に用いられている設計・仕様を取り入れることにより、コストの縮減に努めている。

2-3.有効性

(1)本件の実施により以下の成果が期待されている。

(イ)教育環境の整った教室で学習できる児童が、プロジェクトが終了する2010年には約13,750人増加する。
(ロ)教室及び便所の整備が新たに行われることで、学校の衛生環境が改善され、女子児童の就学が向上する。
(ハ)ソフトコンポーネントの実施により、学校の維持管理能力の強化が図られ、学校における施設や運営に対するオーナーシップが醸成される。

(2)建設工事にかかる地域リソースの活用により、コミュニティの雇用促進、活性化が図られる。また、ソフトコンポーネント活動の実施により、地域コミュニティにより構成される学校運営維持管理組織の活動が活発化し、コミュニティ自体の発展が期待される。

(3)本計画の実施により、日本とベナンの二国間関係強化への効果が期待される。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)ベナン政府からの要請書

(2)JICAの概略設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)

(3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki.html



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