1.案件名 1-1.供与国名 モロッコ王国 1-2.案件名 「マラケシュ‐アガディール間高速道路建設計画」(Marrakech-Agadir Motorway Construction Project )」 |
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2.有償資金協力の必要性
2-1.二国間関係等
モロッコでは全国高速道路の年平均日交通量が約5百万台に上り、道路が主要な輸送・移動手段であり、移動時間短縮・走行安全性を目的とした高速道路の需要は高い。更に近年の経済発展に伴い、交通需要が増加しており、自動車保有台数が、2000年から2003年(1.8百万台)にかけて約20万台増加、新規自動車免許取得者数も2000年から2003年(25万人)にかけて約5万人増加している。観光需要も近年増加傾向にあり、同国観光省では、2010年に1千万人の観光客誘致等を目標とする計画を定めており、マラケシュやアガディール等主要観光都市の観光施設の整備を急いでいる。こうした交通及び観光需要の増加への対応に加え、既存国道の改良遅延から交通事故が多発しており、安全面においても高速道路網整備の必要性が高い。更に、今後控えている欧州との市場統合、アフリカとの交易促進及び米国との自由貿易化により物流の活発化も予想されることから、観光振興や貿易促進のための運輸ネットワークとしての高速道路網の拡大・整備が同国の優先課題となっている。 現在同国にはラバトを中心として計612km(2005年)の高速道路網が存在し、2005年から2010年にかけて年間約150km、既存部分との合計1,417kmの高速道路網が建設予定である。また、高速道路建設は、2004年までの同国開発計画および現在策定中の「経済・社会開発計画(五ヵ年計画)」(2007年~2011年)においても引き続き重点分野とされる見込みである。 2-4.我が国の基本政策との関係 我が国は、これまでモロッコの主要産業である農業・水産業の開発・振興、農業用水・飲料用水確保のための水資源開発、基礎インフラ整備、都市部と地方部との地域格差是正のための地方開発及び環境分野において、円借款、無償資金協力及び技術協力を実施している。 本案件は、これら重点支援分野のうち、「基礎インフラ整備」に該当する。 2-5.有償資金協力を実施する理由 本案件は、同国高速道路網の南北ルートの終点に位置するものである。本高速道路の完成により、同国の交通需要増加に対応するといった直接的な効果にとどまらず、ジブラルタル海峡を隔てて、ヨーロッパ大陸とモロッコ有数の生産・観光拠点であるマラケシュとアガディールが結合されることにより、観光需要の増加、国内物流のみならず欧州・アフリカ諸国等との交易の促進等の波及効果が期待される。 本案件は、マラケシュ~アガディール間全長234kmの高速道路を建設する大規模なプロジェクトであり、我が国はアルガナ~アムスクルッド間46km分を担当し、他の区間及び全区間の標識設置等を担当するアフリカ開発銀行、イスラム開発銀行、アラブ経済社会開発基金、及びアラブ経済開発クウェート基金からなる他のドナーと協調しながら支援を行うことになっている。 |
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3.案件の概要
3-1.目的(アウトプット) 下記区間において、片側2車線の高速道路を建設するもの。 ・ 対象地域名:マラケシュ~アガディール(全長234km) 第1区間:マラケシュ~シシャワ(84km) 第2区間:シシャワ~アルガナ(92km) 第3区間:アルガナ~アムスクルッド(46km)※本案件対象候補区間 第4区間:アムスクルッド~アガディール(12km) 3-2.実施内容 一般条件(低所得開発途上国) 供与限度額:17,726百万円 [供与条件] 金 利:年1.5%(一般条件/基準) 償還期間(据置期間):30(10)年(一般条件/基準) 調達条件:一般アンタイド [借入人] 高速道路公団(ADM) [実施機関] 高速道路公団(ADM) 3-3.環境社会配慮・外部要因リスクなど留意すべき点
モロッコの経済・観光の中心都市であるマラケシュとアガディールを高速道路で結ぶことによって、増加する交通需要への対応を図るとともに、国内及び欧州やアフリカ諸国等との交易の促進、観光の振興を通じた同国経済の活性化に寄与することになる。また、道路周辺地域へのアクセス向上により、地域間格差の是正が期待でき、INDHにも適ったプロジェクトであるといえる。 本プロジェクトへの協力を通じ、日・モロッコ経済関係が強化され、二国間関係の増進が期待される。 |
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4.事前評価に用いた資料、有識者等の知見の活用
要請書、環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html)、国際協力銀行から提出された資料等。 |