1.案件名
1-1.供与国名 ウクライナ 1-2.案件名 「キエフ・ボリスポリ国際空港拡張計画」 | ||||||||||
2.有償資金協力の必要性
2-1.二国間関係等 ウクライナは1991年にソ連邦解体に伴い独立。同年の国家承認以来、わが国との関係は良好であり、かつ着実な発展を見せている。二国間の外交関係は、1995年のクチマ大統領の来日以降、徐々に進展しつつあり、2003年8月には川口外相が訪宇、また同年5月にはリトヴィン最高会議議長が参議院の招待により来日し天皇陛下に謁見、本年6月にはグリシチェンコ外相が来日した。 わが国のウクライナに対する支援は、チェルノブイリ被災者支援を中心とする人道・医療支援等原子力安全支援から始まり、1997年には同国の民主化・市場経済移行を支援するため、ODA供与を決定して無償資金協力、技術協力を実施してきており、本年6月には技協・無償協定を締結する等、実績とともに援助実施体制も整いつつある。 本年のEU拡大により、EU圏と直接接することとなったウクライナは、その人口4,872万人(2002年)にかんがみても、潜在的に有望な市場であるとの認識がわが国経済界にはあり、経団連のミッションが1998年、2001年、2003年と連続して派遣されている。また、民間の経済交流も立ち上がり始めている。 2-2.対象国の経済状況
2-3.対象国の開発ニーズ ウクライナは、2015年までの経済社会開発戦略を策定し、戦略目標として欧州の経済圏に入ることを目指している。2000年以後の経済成長を踏まえ、旧ソ連時代の古いインフラのリハビリ等が急務となっている。 ウクライナ政府は、ヨーロッパとアジアの中間という地理的な条件を活かし、同国を周辺国へのトランジット国家と位置付けるという目標を掲げており、交通インフラの整備に対する高い開発ニーズがある。ウクライナの玄関空港であるボリスポリ国際空港を拡張する本案件は、同目標達成のために必要不可欠の事業である。 2-4.わが国の基本政策との関係 わが国の欧州地域の旧ソ連諸国への支援は、市場経済移行、環境保全対策及びインフラ復旧・開発に資する分野を重点としているが、特にウクライナに対する有償資金協力については、外資導入に資するインフラ案件及び環境案件を中心に協力を実施する方針である。本案件は、国際空港の拡張により、貿易、人的交流が活発化し、ウクライナの産業が発展し、更には中長期的には外国投資を呼び込む効果が期待され、上記方針に合致するものである。 2-5.有償資金協力を実施する理由 ウクライナは、2000年以降経済状況が順調に回復しており、これを受けて首都キエフに位置するボリスポリ国際空港の旅客取扱数が著しく増加している(2001年:154万人、2002年:181万人、2003年:236万人)。今後の同空港の需要予測は、2010年に453万人(うち国際線398万人)、2015年に648万人(うち国際線567万人)とされている。 本案件は、混雑の著しい既存ターミナルを拡張するものであり、急増する旅客需要に対応するために必要不可欠なものである。また、近時の旅客数の著しい増加により、現時点で既に同空港の処理能力を需要が上回っていること、及び旅客需要は今後も引き続き増加することが予測されていることから、緊急性は極めて高い。 また、インフラ整備を中心とした経済成長に資する案件の実施は、現在成長基調にあるウクライナ経済の更なる振興のためにも重要である。 |
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3.案件概要
3-1.目的(アウトプット) 本案件は、首都キエフにあるウクライナ最大の国際空港であるボリスポリ国際空港の国際線ターミナル、エプロン(駐機スペース)及び誘導路の拡張並びに関連設備の整備を行い、増加する航空旅客需要に対応するとともに利便性の向上を図るものである。本事業により2014年までのウクライナの航空旅客需要に対応することが可能となる。 3-2.実施内容 供与限度額:190億9,200万円 金利:年1.5% 償還(据置)期間:30(10)年 調達条件:一般アンタイド 実施機関:ボリスポリ国際空港公団 3-3.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
3-4.有償資金協力の成果の目標(アウトカム) 本案件を実施することにより、ボリスポリ国際空港の混雑緩和、今後の需要増加への対応及び利便性の向上が図られ、ウクライナの貿易・投資促進や観光資源の活用による同国の経済活動促進に貢献する。また、ウクライナに対する初の円借款の供与を通じて、ウクライナとの二国間関係の緊密化や、民間レベルでの経済交流の増進等、外交政策上大きな効果を得ることを目指す。 |
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4.事前評価に用いた資料等及び有識者の知見の活用
要請書、F/S、国際協力銀行より提出された資料等 |