1.案件名
1-1.供与国名 トルコ共和国 1-2.案件名 「ボスポラス海峡横断地下鉄整備計画(II)」 | ||||||||||
2.有償資金協力の必要性
2-1.二国間関係等 トルコは、欧州とアジアの接点であって、NATO、OECD及び欧州安全保障・協力機構(OSCE)に加盟し、欧米先進諸国、隣接する東欧諸国、NIS諸国及び中東諸国と様々な協力関係を有している。さらに、冷戦構造の崩壊後、中央アジア・コーカサス諸国への経済文化協力を実施することによって、これら地域の安定と経済発展に寄与してきた。また、同国は、国民の多数がイスラム教徒である中、世俗主義を国是としており、中東地域における重要な安定要因となっている上、中東地域とのガス等エネルギー資源の輸送経路として、地政学的にも重要な位置にある。このため、トルコの更なる安定的発展の確保は、欧州及びアジア地域全体にとって重要である。 トルコの人口規模、欧州・中東の市場に隣接するという地理的条件等にかんがみ、わが国からの投資先・生産拠点・市場としての将来性が大きく、わが国にとってもトルコと緊密な二国間関係を有することは、重要であると考えられる。 2-2.トルコの経済状況
2-3.対象国の開発ニーズ トルコにおける公共投資は、国家計画庁(SPO)が策定する開発5ヵ年計画に基づいて実施されており、2001年からは第8次5カ年計画が開始している。同計画においては、マクロ経済の安定、競争力を備えた経済構造構築による持続的発展の達成等を主要課題とし、公共投資の重点を運輸、通信等に置くこととしている。 2-4.わが国の基本政策との関係 わが国としては、IMFプログラムの継続によるトルコ経済運営の動向に注視し、改革努力を促しつつ、トルコが「競争力を備えた経済構造構築による持続的発展の達成」等を主要課題(「第8次5カ年計画」による。)としていることを踏まえ、1)環境(都市環境の改善、海洋汚染対策)、2)経済社会開発促進のための人材育成、3)地域間格差是正のための産業の振興と保健・医療等基礎生活分野の改善、4)南南協力の分野を中心に支援を行う。 2-5.有償資金協力を実施する理由 トルコでは、人口増加と同時に都市への人口集中が進んでいる。全人口に占める都市住民の割合は、1997年には60%であったが、2023年には90%になると予想されているが、既にイスタンブール市における人口は、1990年には731万人であったところ、年平均4.9%増加し、2002年には1000万人に達し、今後も更なる増加が見込まれている。 同市においては、旅客輸送手段として道路、鉄道、フェリーが活用されている中で、輸送量の90%以上を道路が占めている。このため、特にボスポラス海峡(住宅地区であるアジア側と商業地区である欧州側を分断)に架る2箇所の橋梁は混雑が著しく、車両交通量は平均38万7千台/日(2004年5月)であり、慢性的な交通渋滞が発生している。また、交通渋滞時の大量の排気ガス発出による大気汚染が深刻な問題となっている。 今後見込まれる同市における人口増加に伴う更なる交通需要の増大に対応し、交通渋滞を解消するために、ボスポラス海峡を横断する大量交通システムであるボスポラス海峡横断地下鉄整備事業の必要性は高く、また、本事業が同市における経済活動の効率化促進に資することから、有償資金による協力を実施することとする。 |
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3.案件概要
3-1.目的(アウトプット) ボスポラス海峡を横断する地下鉄の建設及び既存の鉄道線の改修を行うことにより、イスタンブール市の交通需要に対応し、乗客輸送の円滑化による経済社会活動の効率化を図るとともに、燃料消費量の削減による窒素酸化物等の排出削減により環境改善に資する。 3-2.実施内容 供与限度額:987億3,200万円 金利:年0.75% 償還期間(据置期間):40(10)年 調達条件 本体部分:部分アンタイド コンサルタント部分:二国間タイド 実施機関:運輸通信省鉄道・港湾・空港建設総局 3-3.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
3-4.有償資金協力の成果の目標(アウトカム) イスタンブール市の交通需要に対応し、同市の経済活動の効率化促進に資するとともに、同市における大気汚染防止を目指す。更には、本案件の実施を通じて、トルコの安定的発展の確保、周辺地域の安定と経済発展への寄与及び二国間関係の緊密化に貢献することが期待される。 |
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4.事前評価に用いた資料等及び有識者の知見の活用
要請書、F/S、国際協力銀行より提出された資料等 |