1.案件名等
1-1.供与国名 インド 1-2.案件名 「カルナタカ州持続的森林資源管理・生物多様性保全計画」 | ||||||||
2.有償資金協力の必要性
2-1.二国間関係等 世界最大の民主主義国家・資本主義国家であり、かつ、世界の貧困人口の4分の1以上を擁するインドの社会及び経済の発展及び安定のために円借款によって支援を行うことは、次のように(1)日印二国間関係の緊密化、(2)日印経済関係での利益増進、(3)日本の安全保障環境の改善、(4)貧困削減への貢献等による国際社会からの共感・信頼確保といった点において、国際社会の平和と発展、ひいては日本の安全・繁栄の確保というODA大綱の確保に資するものであり、我が国外交政策上の必要性が非常に高い。
2-2.対象国の経済状況 インドの一人当たりGNIは530ドル(2003年:世銀資料)であり、円借款供与対象国区分のうち、貧困開発途上国として位置付けられる。人口は10億4,828万人(2002年:世銀資料)、GDP5,990億ドル(2002年:世銀資料)、経済成長率は8.2%(2003年度 印側資料)を達成している。 外貨準備高は1993年度末の193億ドルから1,117億ドルと順調に増加している。経常収支は、2001年度以来黒字を記録している。長期債務残高は、1,126億ドル、対GDP比17.6%、DSR(債務返済比率)は18.3%である(2003年度末:印側資料)。GDP成長率は、昨年度第一四半期(4~6月)の前年同期比7.4%であり、今年は6.0~6.5%の成長が見込まれている(インド準備銀行資料)。 インドの経済政策は、昨年5月に発足した新政権においても、前政権により推し進めてられてきた経済自由化政策は基本的に維持されており、年率7~8%の経済成長、国内外の投資促進、規制緩和、財政赤字削減、社会部門への公的支出の拡大等を経済政策として掲げてきた。今後とも、引き続き外国直接投資(FDI)の緩和、規制緩和、財政再建責任法に基づく財政赤字の縮減、VAT導入による税収拡大等を施策としている。直近の経済状況では、インフレ圧力、経済収支黒字幅の縮小、財政再建のペースの鈍化に注目する必要はあるものの、好調な経済成長を続けているほか、堅調なFDI、外貨準備の積上、DSRの低下が見られることから、インドの債務返済能力が問題となる蓋然性は低い。 2-3.インドの開発ニーズ カルナタカ州においては、貧困層が森林の薪や牧草などに収入と生活資源を依存して森林伐採を重ねていること等により疎林(注)の面積が拡大し、森林の荒廃が進んでいる。このため、水源涵養力の低下、燃材、飼料、果実等の供給量が減少することによって森林資源に依存して生活している周辺住民が貧困化している。 (注)疎林:樹冠率(森林面積のうち植樹に覆われている面積)が10~40%の森林。 また、西ガーツ地方は、国際NGOであるコンサーベーション・インターナショナルが固有生物の生息状況や生息地状況にかんがみ「生物多様性危険地域(ホットスポット)」に指定したことからも明らかであるように、本来の植生の7割以上が喪失されており、希少種の生息が危機的状況となっている。 2-4.我が国の基本政策との関係 インドの人口の約3分の1が貧困状態にあること、電力、運輸等の経済インフラが依然として絶対的に不足していること等の開発ニーズを踏まえて、我が国は、円借款による支援において、(1)電力・運輸等を中心としたインフラ整備、(2)農業・農村開発を始めとする貧困対策、(3)植林、水質改善等の環境対策を「重点分野」として掲げている。また、これら重点分野を支援する上では、日印経済の増進に資するための投資環境整備の視点が重要である。 なお、インドが1998年5月に行った核実験に対して我が国は「経済措置」を採っていたが、核実験モラトリアムの継続等を踏まえて2001年10月に同措置を停止している。 2-5.インドに対して有償資金協力を実施する理由 本計画は、上記2-3.に示すとおり開発ニーズが高く、上記2-4.(2)及び(3)に該当する。 |
||||||||
3.案件概要
3-1.目的(アウトプット) カルナタカ州の約1,200村落にて植林(約185,000ha)、生計改善活動(所得向上活動)、森林管理能力強化活動及び生物多様性保全活動を行う。 3-2.実施内容 供与限度額:152億900万円 金利:年0.75% 償還(据置)期間:40(10)年 調達条件:国内競争入札 実施機関:カルナタカ州森林局 3-3.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
3-4.有償資金協力の成果の目標(アウトカム) 本計画を通じ、植林による環境対策、貧困削減等が期待され、ひいては上記2-1に掲げた諸目的の達成に資する。 。 |
||||||||
4.事前評価に用いた資料等及び有識者の知見の活用
要請書、F/S、国際協力銀行より提出された資料等 |