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政策評価法に基づく事前評価書

作成年月日:平成17年3月15日
評価責任者:無償資金協力課長 鈴木 秀生


1.案件名

1-1.供与国名
 トンガ王国

1-2.案件名
 「ヴァイオラ病院改善整備計画」
2.無償資金協力の必要性

2-1.二国間関係
 トンガ国は伝統的に親日的。経済・技術協力が増大し、二国間関係も緊密化している。

2-2.対象国の経済状況
 失業率の増加が慢性的状況。財政状態は恒常的に海外援助及び出稼ぎ者からの送金に大きく依存。政府は新しい輸出商品作物の開発に熱心で、既に成功しているかぼちゃに次ぐ産品の開発に向けて市場調査や相手国への輸出手続きに関する調査を積極的に行うとともに、産品の品質管理にも力を入れている。

2-3.対象国の開発ニーズ
 ヴァイオラ病院は、トンガ唯一の高度医療サービス機関であり、同国最大の人口を有するトンガタプ島住民への初期医療サービスを提供している。
 同病院は築後33年が経過しており、病院施設の老朽化、手術室の不足、術後回復ベッド・集中治療用ベッドの不足、手術室および中央材料滅菌室の清汚区分の不明確さ、滅菌器・エックス線撮影装置の故障の頻発、浄化槽の容量不足等が指摘されている。
 このような中、トンガはヴァイオラ病院全体の改善整備計画として、世銀の支援によりヴァイオラ病院改修マスタープランを作成し、病院全体の建て替え・改修をいくつかのフェーズに分割し、ドナーの支援を得て改善計画を進める方針が示されている。
 このような状況の下、トンガ王国政府は、もっとも緊急性・重要性が高い中央診療棟と、産科・外科病棟を新築し、同国の医療サービスの向上を図ることを目的に、「ヴァイオラ病院改善整備計画」を策定し、この計画に実施に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。

2-4.我が国の基本政策との関係
 我が国は大洋州地域に対しては、島嶼国の抱える拡散性・遠隔性にも対応しうる経済・社会インフラの整備(保健医療を含む)を重点的に支援を行うこととしており、本件支援はこの重点に合致する。

2-5.無償資金協力を実施する理由
 同国は極めて親日的であり、我が国との二国間関係も良好であることから同国の人口規模、開発ニーズに配慮しつつ、経済協力を実施する。
3.案件概要

3-1.目的
 トンガの保健医療サービスを向上を図るため、ヴァイオラ病院の機能を強化する。

3-2.案件内容
 供与限度額は10億3,000万円。中央診療棟(手術部、ICU、放射線部、検査部、薬剤部等)、産科(34床)・外科病棟(40床)等の建設、医療器材(手術台、麻酔機、患者監視装置、人工呼吸器、児童血球カウンター、高圧蒸気滅菌装置、超音波診断装置X線撮影装置、無陰灯、保育器、酸素濃縮装置等)の調達等。

3-3.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
 トンガ政府により、次の事項が確保される必要がある。
(1) 建設予定地の確保、建設予定地内の既存建物・障害物の解体及び撤去、ならびに、本プロジェクトによる施設・設備の改修区域内の障害物の解体及び撤去。
(2) 本電気接続及び変圧器新設工事。
(3) 既存機材の移設工事。
(4) 新病棟を運営するために必要な医師・看護士・技術者等人員の確保。

3-4.無償資金協力の成果の目標(アウトカム)
(1) 産科病棟と外科病棟の新築、中央診療棟の機能集約化により医療サービス及び初期治療体制を強化できる。
(2) 産科病棟の病床数を増やすことにより、出産予定日入院が可能になり、妊産婦ケアが向上する。
(3) 手術室、集中治療室及び回復ベッドが増設され、手術関係の医療サービスが向上する。
(4) 手術室・中央材料滅菌室の清汚区分が明確化し、院内感染の危険性を軽減できる。
(5) エックス線診断の精度が上がり、また放射線技師等の放射線被曝量を減少することができる。
(6) 容量の十分な浄化槽の整備により、環境への影響を低減できる。
(7) 我が国とトンガとの友好的な二国間関係を増進させる。
4.事前評価に用いた資料、有識者の知見等

(1) トンガ政府からの要請書
(2) 基本設計調査及び基本設計概要説明調査
(3) 第12回無償資金協力実施適正会議にて検討。


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