1.案件名
1-1.供与国名 南アフリカ共和国 1-2.案件名 「東ケープ州基礎医療機材整備計画」 |
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2.無償資金協力の必要性
2-1.二国間関係 かつて「アパルトヘイト(人種隔離)」に基づく人種差別政策が行われていたが、94年に全人種が参加する初の民主的総選挙が実施され、マンデラ、ムベキ両政権下で、国民融和の実現と国内格差是正、失業対策、黒人貧困層の生活環境改善などの重点課題に取り組んでいる南アフリカと、我が国との二国間関係は良好であり、要人の往来も活発である。なお、99年以来、政治、経済、文化、科学技術等多様な分野に関する協議を行う年次協議「日・南ア・パートナーシップ・フォーラム」を共催している。 2-2.対象国の経済状況 第一次産業が12%、第二次産業が31%、第三次産業が57%を占めているが、近年は鉱業の比率が減少を続け、商業、金融・保険が拡大している。同国のGDPはサハラ以南アフリカ全体の45%を占めており、圧倒的な経済力を有する同国の経済発展は南部アフリカをはじめアフリカ全体の発展にとり重要な役割を果たしている。 また、南アフリカ政府は、最大の課題である人種間の社会・経済格差是正のため復興開発計画(RDP:Reconstruction Development Programme)による黒人等の生活水準・生活向上を目指している。 97~98年には景気の低迷により、98年の通年成長率は0.6%まで落ち込んだものの、99年に入り民間消費及び欧州・アジアとの貿易の回復を背景に景気は回復、2000年には3.4%、2001年には2.2%、2002年には3.0%の成長率が達成されている。 2-3.対象国の開発ニーズ 南アフリカにおいては、1994年に全人種参加の民主的選挙によりマンデラ政権が成立したが、長期にわたったアパルトヘイト政策の結果としてもたらされたあらゆる面での人種間格差は極めて大きい。例えば、1世帯当たり所得で比較すれば、白人世帯平均所得は、黒人世帯平均所得の約6倍であると云われている。 本計画の対象となる東ケープ州オリバータンボ地区は、住民(182万人)の約90%が貧困黒人層という、最大規模の旧黒人居住区を抱えており、旧政府時代の政策の結果生じた人種間格差が続いている。この格差解消のために南ア政府は「国家保健政策」や「東ケープ州保健政策」策定して、医療施設の改修及び改築を実施してはいるものの、基礎的な医療機材を整備するための予算までは確保出来ていない。したがって、医療機材の老朽化や絶対的不足状態が続いており、住民は満足な保健医療サービスを受けられない状態にある。 このような状況のもと、南ア政府は、最貧困地域であり、基礎保健医療サービスの需要が大きい東ケープ州オリバータンボ地区における基礎医療機材の整備に必要な資金につき、わが国に対し無償資金協力を要請してきたものである。 2-4.我が国の基本政策との関係 南アフリカの民主化及び経済発展並びに貧困撲滅と黒人地位向上に資する目的の下で、わが国が想定している重点分野の一つ「保健・医療」に合致している。 2-5.無償資金協力を実施する理由 所得水準(2002年一人当たりGNI:2,600ドル)は、一般プロジェクト無償適格水準を超過しているものの、南ア支援が南ア自身の民主化及び経済発展並びに貧困撲滅と黒人地位向上に資するのみならず、南部アフリカ、ひいてはアフリカの開発問題全体にも資するため、例外的に実施している。 |
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3.案件概要
3-1.目的 本計画は、最貧困地域であり、基礎保健医療サービスの需要が大きい東ケープ州オリバータンボ地区における基礎医療機材を整備することを目的としている。 3-2.案件内容 供与限度額は10億3,800万円(平成16年度:10.11億円、平成17年度:0.27億円)。東ケープ州オリバータンボ地区の5地区病院、6保健センター、83クリニックの基礎的な医療機材及びモバイルクリニック用車両を整備するもの。 3-3.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点 南アフリカ政府により、次の事項が確保される必要がある。
3-4.無償資金協力の成果の目標(アウトカム)
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4.事前評価に用いた資料、有識者の知見等
(1)南アフリカ政府からの要請書 (2)基本設計調査(平成15年3月)及び基本設計概要説明調査(平成15年7月) (3)第11回無償資金協力実施適正会議にて検討 |