1.案件名
1-1.供与国名 パキスタン・イスラム共和国 1-2.案件名 「ラホール市下水・排水施設改善計画」 |
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2.無償資金協力の必要性
2-1.二国間関係 我が国とパキスタンは、1952年の国交樹立以降、政治・経済・文化など様々な分野において、積極的に人物交流を展開してきており、両国の関係は98年の核実験時以外、極めて良好である。特に、2001年の9.11以降は、同国のテロとの闘い及び「穏健かつ近代的イスラム国家」建設を目指した努力を、我が国としても支えるべく積極的な支援を行ってきている。 同年11月、我が国は、経済制裁措置を解除し、パキスタン政府の貧困削減の努力を支援するため2年程度に亘り3億ドルの無償資金協力を行う旨発表した。さらに、2004年8月には、円借款再開の検討を表明した。 2-2.対象国の経済状況 1990年代後半、財政の破綻、輸出の停滞等により、財政赤字と経常赤字が深刻化するとともに対内・対外債務が激増したが、1999年のムシャラフ政権の発足以降、税収増加と慎重な支出管理により財政赤字の大幅な低減(2003年GDP比4.5%)に成功しているほか、貿易収支の改善、移転収支の増加等により、経常収支も黒字に転換した。さらに、外貨準備高の急増(2004年4月末現在約125ドル超(輸入の約11か月分相当))に、財務省債務局の設置、財政安定化と公的債務削減を義務付けた財政責任・債務管理令の制定、高利子対外債務の期限前償還等の債務管理能力強化のための努力があいまって、累積債務残高及び債務管理能力は急速に持続可能なレベルに改善している。 これら財政構造の改善に伴う開発予算の増加にもかかわらず、依然として貧困率は高く(31.8%(03年)、一人当たりGDP約652米ドル(04年))、継続して貧困削減のための取り組みが必要な状況にある。 2-3.対象国の開発ニーズ パンジャブ州の州都であり約720万人の人口を有するパキスタン第2の都市であるラホール市は、急激な人口増加に市内下水・排水施設の拡充が対応できていないことに加え、1)既存の下水管路・排水路の多くが大量の汚泥・廃棄物等で閉塞していること、2)雨水・汚泥を排出するポンプの能力が不足していることから既存施設の能力を十分に発揮させることができていない。このため、特に7月から9月にかけての雨季の間には、毎年市街地のいたるところで冠水被害が発生することに加え、冠水時間が長く続き、環境衛生・交通渋滞の悪化が著しい状況にあるだけでなく、市民の安全確保、財産保護にも重大な影響を及ぼしている。 現在、下水管路・排水路の清掃及びその廃棄物処理並びにポンプ等の維持管理はラホール市開発公社水・公衆衛生局(WASA)により実施されているものの、清掃機材の不足により清掃作業を人力に頼るところが多く非効率であることから、堆積する汚泥・廃棄物を取り除くには到底不十分な状況にある。 このような状況の下、パキスタン政府は「ラホール市下水・排水施設改善計画」を策定し、既設の下水管路・排水路に滞留する汚泥・廃棄物を取り除くとともに、排水能力の向上を図るため、下水管路清掃機材、排水路清掃機材、ポンプ関連機材等の整備に必要な資金につき、我が国に対し無償資金協力の要請があったものである。 2-4.我が国の基本政策との関係 対パキスタン国別援助計画の重点分野の一つである「下水・廃棄物処理の改善」に合致している。 2-5.無償資金協力を実施する理由 高い人口増加率、低い識字率、失業の増大、エネルギーの不足、財政赤字等困難な経済社会問題に直面しながら積極的に国内開発・貧困削減に取り組んでおり、無償資金協力の必要性が高い。 |
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3.案件概要
3-1.目的 本計画は、下水・排水施設の改善によりラホール市の都市環境を改善を向上させることを目的としている。 3-2.案件内容 供与限度額は12億2,200万円。高圧ポンプ車、汚泥吸引車、クレーン式掘削機、ポンプ、自動除塵機等の調達を行うもの。 3-3.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点 以下の事項がパキスタン政府により実施される必要がある。
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4.事前評価に用いた資料、有識者の知見等
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