1.案件名
1-1.供与国名 マリ共和国 1-2.案件名 「第ニ次小学校建設計画(3/3期)」 |
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2.無償資金協力の必要性
2-1.二国間関係 近年深化している経済協力関係に加え、マリ政府のTICAD(アフリカ開発会議)プロセスへの積極的姿勢を中心に両国関係は極めて良好であり、マリは我が国にとってアフリカ外交上重要なパートナーとなっている。マリ側も、2002年6月に在京マリ大使館を開設するなど両国関係の活発化を期待している。 2-2.対象国の経済状況 マリでは、就業人口の80%が従事し、GDPの50%を占める農業(綿花、落花生、栗)・牧畜業が主要産業であり、その他、鉱業(燐鉱石、岩塩、金)も行われている。 農業国である上に、少ない降雨量や干ばつ等による食糧不足の恒常化、内陸国という地理的不利などにより、経済基盤は脆弱である。良好に推移してきた経済状況も、主要輸出産品たる綿花の国際価格下落、干魃、原油価格の高騰、周辺諸国における政情不安等により、2000年以降大きな打撃を受けている。 なお、政府の経済政策についてはドナー諸国からの評価は高く、1996年に拡大構造調整ファシリティが合意されて以降、世銀・IMFとは良好な関係を保っている。2002年10月には、貧困削減戦略ペーパー(PRSP)が新政権によって採択され、2003年3月には世銀・IMFによって同ペーパーが承認された。 2-3.対象国の開発ニーズ マリにおいては、1980年代、1990年代を通じて、世銀・IMFの指導の下で構造調整を実施してきた。2002年には、トゥーレ政権は、成長の再分配、ガバナンスの改善、人材開発、基礎インフラの整備を主要な柱とする「貧困削減戦略ペーパー(PRSP)」を採択した。こうした独自の努力にもかかわらず、同国経済は依然として綿花栽培を中心とした農業によって占められており、国民の生活水準は低いままに留まっている(2002年の一人あたりGNIは240ドル)。 また、構造調整計画の下で緊縮財政政策が採られたため、教育関連予算も逼迫し、初等教育施設等の整備が遅れており、現在の就学率は男子47%、女子33%に留まっている。このような状況を打開するため、同国政府はドナーの協力を仰ぎつつ教育環境の整備に努めており、我が国も先方政府の要請に応え「小学校建設計画」(平成9-12年度)を実施している。また、同国政府は「教育開発10カ年計画」を策定し、教室や教員養成施設の建設等、教育インフラ整備を通した就学率の向上(2010年までに95%の達成)を目標に掲げ、引き続き教育環境の改善に努力している。 しかしながら、上記の通り同国は厳しい財政状況にあることから、高い人口増加率(年2.8%)、都市への激しい人口流入も相まって、教育インフラ整備の進捗状況は遅く、特に都市部の教室不足は深刻な状況にあり、同国政府は多くの学校で午前と午後の交代制で可能な限り多くの児童を就学させるべく努めているが、実際は教員1名に対する児童の標準比率50人を大きく越え100名に達している場合が多い状況にある。他方、農村部では学校の絶対数が少なく、児童の通学時間・通学距離が就学率低迷の主要な要因となっている他、藁小屋や老朽化した教室等適切といえない環境での授業を強いられている。 このような状況の下、マリ政府は同国の初等教育の就学率向上を目的に「第ニ次小学校建設計画」を策定し、我が国政府に対して無償資金協力を要請越したものである。 2-4.我が国の基本政策との関係 本計画は我が国が対アフリカ協力の重点分野としている基礎教育に直結する案件であり、TICADの基本原則であるオーナーシップとパートナーシップに基づき、中長期的にマリの経済発展と貧困撲滅に貢献するものと考えられる。 2-5.無償資金協力を実施する理由 マリは、サヘル地域の厳しい気候条件にさらされた上、内陸国という地理的不利を抱え、GDPの50%を農業に依存している重債務貧困国であり、本案件の実施について、同国政府より高い優先順位で要請が行われている。 |
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3.案件概要
3-1.目的 クリコロ、セグー、シカソ各州とバマコ特別区における小学校及び附属施設を建設するとともに、教材セット等機材を供与し、マリにおける初等教育就学率の向上に資する。 3-2.案件内容 供与限度額は、12億8000万円。
次の事項がマリ政府によって確保される必要がある。
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4.事前評価に用いた資料、有識者の知見等
(1)マリ政府からの要請書 (2)基本設計調査(平成13年6、7月) (3)第12回無償資金協力適正会議にて検討。 |