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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成16年4月13日
評価責任者:無償資金協力課長 山田彰


1.案件名

1-1.供与国名
 インドネシア共和国

1-2.案件名
 「生物多様性保全センター整備計画」
2.無償資金協力の必要性

2-1.二国間関係
 インドネシアは、わが国が中東の石油等を運ぶ際の極めて重要な海上輸送路上に位置する上、東南アジア地域において国土・人口・資源の全てにおいて最大規模の国であり、ASEANの中核国の一つとして東南アジアの安定と発展のために重要な役割を担っている。わが国は、インドネシアをわが国の東南アジア外交上の重要なパートナーの一つと位置付けている。
 日・インドネシア関係は、主として経済面での相互依存関係を背景として、緊密且つ広範な友好協力関係が築かれている。両国間の要人往来も活発に行われており、文化、人物交流の面でも幅広い協力関係が進展している。

2-2.対象国の経済状況
(1) 所得水準(1人当たりGNP)は、710ドル(2002年)。
(2) インドネシアは1997年のアジア通貨危機において、ASEAN及び韓国の中で最大の経済的影響を受けた。その後、好調な国内消費に支えられ、堅調な成長を見せているが、治安の不透明性や法の支配の確立の遅れなどから外国投資が回復しておらず、状況は依然として厳しい。
(3) 2000年10月のバリ島爆弾テロ事件の発生や、アチェ問題の平和的解決の不透明さ等の治安問題の経済に与える影響が懸念される。
(4) 2003年12月にIMFプログラムを卒業し、財政健全化に向けた取り組みを実施中である。
(5) 対外債務返済が財政の大きな負担となっており、2002年4月のパリ・クラブ会合において、最大で54億ドルの債務繰延が合意された(内、我が国のものは27億ドル)。


2-3.対象国の開発ニーズ

 本計画は、国家開発計画(PROPENAS)の中で国家開発のプライオリティとしている5点の1つである「経済再建の促進および国民経済システムに基づく持続的で公正な開発基盤の強化」に寄与するものである。

2-4.わが国の基本政策との関係
 わが国の対インドネシア支援の重点5分野の内「環境保全」に該当する。

2-5.当該案件に無償資金協力を供与する理由
 インドネシア共和国は低所得国であり、本案件の実施について、インドネシア政府より高い優先順位で要請が行われている。
3.案件概要

3-1.本プロジェクトの目的
 本計画は植物学研究所、微生物学研究所を整備することにより、インドネシアの国家開発計画(PROPENAS)の中で重点分野とされる 「経済再建の促進および国民経済システムに基づく持続的で公正な開発基盤の強化」に資するものである。

3-2.実施内容
 本計画の供与限度額は、21億7,200万円(3箇年に亘る国庫債務負担行為。平成16年度:2億1,400万円、17年度:17億5,500万円、18年度:2億300万円)であり、ジャカルタ近郊のチビノンに植物学研究所、微生物学研究所を整備するものである。

3-3.環境社会配慮など留意すべき点
 以下の事項がインドネシア政府によって確保される必要がある。
(1)貴重な標本類が破損しないよう、施設の移転を実施する。
(2)適切な維持管理を行う。

3-4.無償資金協力供与の成果の目標(アウトカム)
(1) 植物学・微生物学研究所の研究環境が改善される。
(2) 標本の保存環境が改善され、貴重な標本が国際水準で保管される。
(3) インドネシアとの二国間関係を増進させる。
4.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)先方政府からの要請書を参照。
(2)JICAの基本設計調査報告書を参照。
(3)第11回無償資金協力実施適正会議にて検討。


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