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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成16年4月13日
評価責任者:無償資金協力課長 山田彰


1.案件名

1-1.供与国名
 東ティモール民主共和国

1-2.案件名
 「ディリ上水整備計画」
2.無償資金協力の必要性

2-1.二国間関係
 東ティモールの安定と発展がアジア太平洋地域全体の安定のために重要と認識している。
 1999年12月の第一回支援国会合を東京で開催し、支援国として最大の3年間で1億3千万ドルの支援を表明し、これを着実に実施した。また、東ティモールの独立直前の2002年5月に首都ディリで開催された第六回支援国会合においても、わが国として引き続き人道支援並びに人材育成、農業開発、インフラ整備の三分野を重点分野とした復興開発支援を行うことを表明し、3年間で最大6千万ドルの支援を表明し、現在、右支援を実施中である。また、国連のPKOミッションに自衛隊を派遣し、同国の復興支援に貢献している。
 これら支援は東ティモールより高い評価を得ている。

2-2.対象国の経済状況  
(1) 所得水準(1人当たりGNI)は、430ドル(2002年、世銀)。
(2) 東ティモールは1999年8月の住民直接後の騒乱により、多くのインフラが破壊され、多くの難民が発生したが、その後の国連東ティモール暫定行政機構(UNTAET)の下、独立に向けた国造りが進み、2002年5月20日に独立を果たした、現在2002年5月に策定した「国家開発計画」に基づき、国際社会による支援のもとで国造りを行っている。
(3) 同国の治安は、2002年12月に首都ディリで数千名規模の暴動が発生したが、その後比較的平穏に推移している。国連東ティモール支援ミッション(UNMISET)の任期終了後の反政府勢力の動向が懸念される。
(4) 同国の経済は、独立以降、所謂国連景気が終焉し、低迷している。主要産業は唯一の輸出作物であるコーヒー栽培を含む農業、漁業であり、これら産業に労働人口の約4分の3が従事しているが、農業生産性は低く、農村地域は概して低収入であり、全所帯数の約40%が貧困ライン以下となっている(2001年)。
(5) また、ティモール海からの海底ガス・油田からの収入の確保が遅れており、今後3年間で、1.26億ドルの財政ギャップが見込まれている。


2-3.対象国の開発ニーズ
 本計画は、国家開発計画に定められた「都市人口の80%に対する管路による安全な水供給」の実現に寄与するものである。

2-4.わが国の基本政策との関係
 わが国の対東ティモール支援の重点三分野の内「インフラ整備」に該当する。

2-5.当該案件に無償資金協力を供与する理由
 東ティモール民主共和国は低所得国であり、本案件の実施について、同国政府より高い優先順位で要請が行われている。
3.案件概要

3-1.本プロジェクトの目的
 本計画は、東ティモールの首都ディリの水道施設の改修・改善を行い、当該地区での水供給状況を改善することを目的とする。

3-2.実施内容
 本計画の供与限度額は、11億9,800万円(3箇年に亘る国庫債務負担行為。平成16年度:7,400万円、17年度:5億5,100万円、18年度:5億7,300万円)であり、ディリの水道施設の改修・改善を行うものである。

3-3.環境社会配慮など留意すべき点
 東ティモール政府によって、適切な維持管理が実施される必要がある。

3-4.無償資金協力供与の成果の目標(アウトカム)
(1) ディリ市内の配水管整備区域に居住する80,700人に安全で良質な水が供給される。
(2) 施設が整備されることにより、不明水が減少する。
(3) 水因性疾患の発生の抑制が期待される。
(4) 東ティモールとの二国間関係を増進させる。
4.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1) 先方政府からの要請書を参照。
(2) JICAの基本設計調査報告書を参照。
(3) 第11回無償資金協力実施適正会議にて検討。


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