1.案件名
1-1.供与国名 ボスニア・ヘルツェゴビナ国 1-2.案件名 「ドボイ橋及びモドリッチャ橋建設計画」 |
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2.無償資金協力の必要性
2-1.二国間関係 わが国は、旧ユーゴの和平履行評議会の運営委員会のメンバーであり、人道的観点及び冷戦終了後の国際秩序構築の観点に立ち支援を実施している。1996年の支援国会合においては、総額5億ドル程度の復興支援を行う旨表明しており、すでに約3.6億ドル(2003年)の支援を実施している。 また、わが国は、96年1月23日にボスニア・ヘルツェゴビナを国家承認し、同年2月9日に外交関係を開設した。同年6月より在オーストリア大が同国を兼轄していた。そして、98年2月にサラエヴォに兼勤駐在官事務所を開設している。一方ボスニアは駐日大使を任命し、同大使は98年12月に来日した。 2-2.対象国の経済状況 ボスニア・ヘルツェゴビナは、旧ユーゴ時代においても後進共和国の一つであったが、鉄鉱石(旧ユーゴ全体の85%を埋蔵)、石炭等の天然鉱物資源及び森林資源(旧ユーゴの26%)に恵まれ、これらを利用した鉱工業、水力発電等が発展した。しかし、92年に勃発した旧ユーゴ紛争により国内経済は疲弊を極め、国土は相当荒廃した。その後95年に和平合意が成立し、国際社会の支援によって経済は復興しつつある(2001年の経済成長率は+6%(推定))が、依然として国民の20%が貧困層に属すると共に失業率は40%を超えるという経済困難を抱える状況下、先般作成された貧困削減戦略(PRSP)を基に2004年春にドナー会合の開催が予定されている。 2-3.対象国の開発ニーズ ボスニア・ヘルツェゴビナでは、1992年から1995年まで続いた紛争のため、多くの橋梁が破壊されているか、保守管理が行われなかったため老朽化が激しく、ほとんどの輸送が陸路中心となっている同国では、輸送網の支障となっている。 このため、同国を構成するスルプスカ共和国、ボスニア連邦間及び各民族居住地域間において各地域の往来に支障をきたしているほか、難民帰還及び民族和解の促進を阻害する要因となっている。また、国際社会から求められている同国の自立可能な経済を確立していく上でも、道路網の整備は緊急の課題である。 このような状況の下、ボスニア・ヘルツェゴビナ政府は、スルプスカ共和国からの「第二次緊急運輸復興計画」及びボスニア連邦からの「道路建設優先計画1999年から2000年」に基づき、特に優先度の高いドボイ橋およびモドリッチャ橋の建設のため「ドボイ橋及びモドリッチャ橋建設計画」を策定し、この計画の実施に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものであり、これはわが国の重点分野であるインフラ整備分野にも合致するため実施するものである。 2-4.わが国の基本政策との関係 二国間協力では基礎生活分野、戦後復旧・復興の観点からのインフラ整備分野及び地雷犠牲者支援を重点分野としており、本件と合致する。 2-5.無償資金協力を実施する理由 ボスニア・ヘルツェゴビナは、一人あたり国民所得が1,270ドル(2002年)の低中所得国である。経済状況に改善はみられるものの、1992年から1995年まで続いた紛争の傷跡が未だに残っており、復興支援及び開発支援に対するニーズが非常に高い。 また、人道的観点及び冷戦終了後の国際秩序構築の観点に立ち、わが国は旧ユーゴの和平履行評議会の運営委員会のメンバーとして積極的に支援を実施しており、1996年の支援国会合において総額5億ドル程度の復興支援を行う旨表明している。 |
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3.案件概要
3-1.目的 本計画は、民族紛争時に爆撃を受けて破壊した橋梁及び軍用重量車輌通過によって老朽化した橋梁のうち、ボスニア・ヘルツェゴビナの主要道路上にある2箇所の橋梁(ドボイ橋及びモドリッチャ橋)を改修することにより、陸上輸送が主体であるボスニアの輸送網が改善されることを目的としている。 3-2.案件内容 供与限度額は10億2,300万円(平成16年:1.04億円、平成17年度:4.11億円、平成18年度:5.08億円)。ドボイ橋及びモドリッチャ橋の建設。 3-3.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点 次の事項がボスニア・ヘルツェゴビナ政府によって確保される必要がある。
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4.事前評価に用いた資料、有識者の知見等
先方政府からの要請書、JICA基本設計調査報告書。 第7回及び第11回の無償資金協力適正会議にて検討。 |